『君は天国でも美しい』主演ソン・ソックの出演作5選 『私の解放日誌』から最新作まで

観ておきたいソン・ソックの近年の出演作5選

『殺人者のパラドックス』

 思わず人を殺してしまったことをきっかけに、殺人のループにハマっていく主人公タン(チェ・ウシク)を描いた『殺人者のパラドックス』。本作でソン・ソックが演じるのは、タンを追う刑事チャン・ナンガムだ。殺人を犯しておきながら無計画であり、後々証拠を残してしまったことに焦るタンだったが、なぜかその証拠は消え去っており、犯人として追跡されることはなかった。

 しかしナンガムは、タンの挙動を不審に思い、証拠がないながらも彼のことを追い続ける。物語は基本的にタン目線で描かれるため、やたらと勘が鋭いナンガムがタンを問い詰めるシーンには嫌悪感を抱いた人も多いのではないだろうか。本来は警察を応援するだろうが、チェ・ウシクとソン・ソックの演技力によってそれが逆転してしまうのが面白い。一方、ナンガムと家族との関係性が明かされることで、。ただの冷淡な警察ではなく『カジノ』同様に信念を持った、人間味のある人物であることも色濃く映し出されていく。

『犯罪都市 THE ROUNDUP』

 先述のような悪を必死に追い続ける公務員役も似合っていたが、映画『犯罪都市』の2作目である『犯罪都市 THE ROUNDUP』で演じた“最狂”の悪役も迫力があった。

 本作でソン・ソックが演じたのは、ベトナムで韓国人を狙ってお金を巻き上げる悪党・ヘサン。冒頭では、お金持ちの息子を人質に父親から金をむしり取ろうとして、その息子を残虐に殺害する。上半身には広範囲にタトゥーが入っており、落ち着いた佇まいが凄みを醸し出している。

 仕事でベトナムに来ていたマ・ソクト(マ・ドンソク)に追い詰められ、殺害した息子の父親が仕向けた殺し屋にも追われるヘサンは、怒りに任せて韓国に渡り、その父親を捕らえて身代金を要求するも、やはりソクトから逃れることはできない。殺し屋やソクトと対峙した時のアクションや、一瞬のためらいもなく人を無惨に殺す時の表情は狂気に満ちている一方で、負けそうでも必死に威嚇するなど、強さと弱さが見え隠れするキャラクターを演じ切った。

『コメント部隊』

 2025年2月に日本公開された映画『コメント部隊』では、大企業の不正を暴こうとする社会部記者のサンジンを演じたソン・ソック。SNSが発達した現代では、誰もが自由に自分の意見を述べることが出来るが、その反面、フェイク情報も潜んでいる可能性がある。そこに目をつけたのが本作だ。

 企業の不正を告発したサンジンは、誤報として炎上し休職を余儀なくされてしまう。するとしばらくして、とある若者からネットで世論を操作する“コメント部隊”なるものがあることを聞かされ、探っていくと根深い闇が存在することを目の当たりにする。

 しかしその情報も本当か嘘かわからない……。闇の中で踊らされる焦りと記者としての正義感は、ソン・ソックが出演してきた多くの作品と通じる部分がある。観終わった後には、サンジンと同じく「もう何も信じられない」という気持ちにもなるはず。それだけ感情移入できてしまう作品でもあり、今まで見たことのないほど翻弄されるソン・ソックの姿を目の当たりにできる作品だ。

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