『西部警察』はなぜ愛されるシリーズに? 刑事ドラマのひとつの頂点となった『PART-III』

『西部警察』はなぜ愛されるシリーズに?

 石原裕次郎生誕90周年記念特別企画と銘打って、石原プロモーション制作のドラマを集中的に特集しているホームドラマチャンネルで、4月5日から『西部警察 PART-III』(1983年)が放送される。『西部警察』といえば地方ロケと爆破とカーチェイス! この派手な印象を決定づけたのはシリーズ第2作『西部警察 PART-II』(1982年、以下『PART-II』)なのだが、その路線を引き継いでさらにドラマのスケールを拡大したのが『西部警察 PART-III』(以下、『PART-III』)である。

 ご存じの人も多いと思うが、もともと日本テレビ系の刑事ドラマ『大都会』シリーズで、テレビドラマ作りのノウハウを掴んでいった石原プロが、『大都会PARTIII』(1978年)の骨子をそのままに、さらにスケールアップさせる形でテレビ朝日に場を移した作品が『西部警察』(1979年)だ。ただし、単に放送局と一部のキャスト変更、黒岩軍団から大門軍団とチームの呼称変更をしたというだけには終わらない。日産が製造したスカイラインやフェアレディZなどの実車をベースに、特殊装備を搭載した西部署の警察車両“スーパーマシン”の投入が大きなセールスポイントになった。

 リアルタイムで『西部警察』を観ていたファンの中にも、スーパーマシンの数々に胸を熱くした人がいることだろう。第1シリーズと『PART-II』ではサファリ4WD、マシンX、スーパーZ、石原裕次郎演じる木暮の専用車ガゼール・オープンが活躍したが、『PART-III』ではマシンRSが3台登場。外見はいずれも赤いボディのスカイライン2000ターボRSだが、それぞれ捜査用途に応じて異なる装備が施されている。スーパーマシンはコレクション用ミニカーとしても数多く商品化され、『西部警察』シリーズのイメージアップと知名度に大きく貢献した。

 スーパーマシンの活躍はもちろんのこと、なんといっても『西部警察』シリーズが視聴者を惹きつけたのは、地方各地の企業とタイアップした全国縦断ロケではなかろうか。もともと石原裕次郎が病気療養中に応援してくれたファンへの恩返しとして『PART-II』当時に、全国各地にロケに行こうと発案したのが始まりだったが、『PART-III』で地方ロケは恒例行事として引き続き行なわれた。第23話と第24話は山形ロケの前後編で、上山競馬場でジョッキーが馬を走らせているコース横に自動車が並走し、次々と競走馬の近くで爆発が続く。お馬さんたちのその後の人生……いや馬生が心配になるほどの仕掛けが施された回で、客席を埋め尽くす観客たちのリアクションも含めて必見である。

 大阪、神戸、京都で撮影された第48話から第50話の関西ロケ3本もお見事。第48話は、鳩村(舘ひろし)が工事現場スタッフに「すいません、東京の西部署の者ですが、緊急事態なのでダンプをお借りしたいんですが……」と頼んだだけで、次のシーンには10台近くの10トンダンプカー軍団が砂煙をあげて爆走!! 「そんな口頭のお願いだけで大量のダンプが借りられるのかよ!?」 などと突っ込んではいけない。舘ひろしから「すいません」と気さくにお願いされて、ダンプカーを貸さない人はいないだろうから。手榴弾を投げるテロリストどもが相手だけあって、見晴らしの良い造成地にドッカンドッカン火柱があがる豪快な爆発も壮観で、最後はお約束の2階建てプレハブの大爆破。是非チェックしていただきたい。関西ロケは小野みゆき(第48話)、浅野ゆう子(第49話)と、ゲスト陣に華があるのも素晴らしいのだ。

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