『西部警察』はなぜ愛されるシリーズに? 刑事ドラマのひとつの頂点となった『PART-III』

『西部警察』はなぜ愛されるシリーズに?

 この他、わざわざ撮影で爆破する前提で建造した犯人のアジトを派手に吹っ飛ばす福島ロケの第10話(この爆破シーンは、のちにオープニングのタイトルバックに使われたほど凄まじい)、手榴弾を持った船上の犯人を大門が射殺したばかりに、甲板に転がり落ちた手榴弾1つで大型漁船が信じられないほどの誘爆で燃える福岡ロケの第19話もお薦めである。凶悪犯は船もろとも遺体も燃えて当然なのが『西部警察』イズムだ。

 通常、番組のフォーマットがほぼ変わらず、メインキャストが固定された長期シリーズのテレビ番組は、視聴率が右肩下がりになりがちで、打ち切られても不思議ではない。だが『PART-III』は平均視聴率13.09%と常に高い数値をキープし、最終回は最高視聴率25.2%を記録した。地上波テレビが娯楽の王座から滑り落ちて久しい現代と比べても仕方のない話だが、それでも1980年代に毎週10%以上の視聴率を叩き出した民放の連続ドラマがどれだけあっただろうか。放送回数も前作『PART-II』の全40話を遥かに超える全70話で、いかに当時の視聴者に愛されていた作品だったかが伺われる。

 地に足の着いた実直な人間ドラマ『大都会-闘いの日々-』(1976年)から始まった石原プロ自社制作の番組作りは、荒唐無稽ながらも手に汗握る大スケールのコンクリート・ウエスタン『西部警察』へと結実した。この後も石原プロは、アクション主体のものから人情劇まで様々な刑事ドラマを作り続けたが、『西部警察 PART-III』は物量的にも予算的にも、ひとつの頂点を極めた作品だったといえる。観ていると「いやいや、これ民間の警察がやる仕事じゃねぇだろ」みたいな大規模なアクションもあるのだが、そこも含めて『西部警察』の魅力だ。今回のホームドラマチャンネルの放送を通じて、テレビドラマが熱かった時代の息吹に触れてほしい。

■放送情報
『「西部警察 PART-III」放送直前!爆裂カーアクションSP特番』
CSホームドラマチャンネルにて放送
3月29日(土)19:30~20:00
3月30日(日)13:45~14:15
4月5日(土)19:30~20:00
出演:大友千秋、佐藤利明

『大都会-闘いの日々-』
CSホームドラマチャンネルにて、3月11日(火)よりアンコール放送
平日6:00~7:00放送

『生命燃ゆ 妻よ娘よ、我が人生に悔いなし』
CSホームドラマチャンネルにて、3月29日(土)20:00~22:00 CS初放送
出演:渡哲也、十朱幸代ほか

『西部警察』第1~12話
CSホームドラマチャンネルにて、3月30日(日)14:15~26:00放送
4月5日(土)アンコール放送スタート

『西部警察 PART-III』
4月5日(土)スタート 毎週土曜19:30~22:30(3話連続)放送
※4月5日(土)は20:00~開始(2話連続)
※第1話放送前に特番を放送

©石原音楽出版社
特設サイト:https://www.homedrama-ch.com/special/ishiharapro
※「ホームドラマチャンネル」では九州や各地のローカル情報をお届けする「インターローカルアワー」も放送中

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