桜田ひより主演で辻村深月の小説『この夏の星を見る』映画化 コロナ禍の中高生の青春描く

直木賞作家・辻村深月の小説『この夏の星を見る』(KADOKAWA)が桜田ひより主演で映画化され、7月4日に公開されることが決定した。
原作は、2021年から2022年まで全国各日の新聞に順次掲載され、2023年にKADOKAWAから刊行された辻村の長編小説。6月には角川文庫、並びに角川つばさ文庫にてそれぞれ上下巻での文庫化が予定されている。
辻村は、2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『ハケンアニメ』『朝が来る』『傲慢と善良』など映画化された作品も多く手がけている。
2020年、新型コロナウィルスが蔓延したコロナ禍を背景に、登校や部活動が次々と制限され、さらには緊急事態宣言に直面し、大人以上に複雑な思いを抱える中高生たちの青春を描く。部活動を制限された中高生たちが挑んだのは、リモート会議を駆使して同時に天体観測をする競技「スターキャッチコンテスト」。茨城、東京、長崎五島の中高生が始めたこの活動がやがて全国に広がり、ある奇跡をもたらしていく。
茨城県立砂浦第三高校の二年生・溪本亜紗を演じるのは桜田。ヒロインとして出演した映画『交換ウソ日記』をはじめ、『バジーノイズ』や『大きな玉ねぎの下で』などの映画で主演を務め、また『silent』(フジテレビ系)や『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)、『相続探偵』(日本テレビ系)といったテレビドラマにも数多く出演している。2018年から2023年まではファッション誌『Seventeen』(集英社)の専属モデルを務め、同世代の女性読者から厚い支持を得た。
監督を務めるのは山元環。2019年に公開されたショートフィルム『ワンナイトのあとに』がYouTubeで300万回再生される。山元は「コロナに負けない中高生達、いわゆるブレイブジェネレーションが主役の物語です。マスクで見えない表情、友人との距離感、先の見えない時間、そんなコロナ禍にあった壁を突破して、時代じゃ止められない青春の躍動を映画の中に詰め込みました」と意気込みを語り、「当時失われた青春と言われていましたが、壁があるからこそ、青く燃える春がある。過ぎていったコロナ禍の時代に、今に繋がる大切な時間がこの映画にはきっとあると思います」とメッセージを寄せた。
脚本を手がけるのは森野マッシュ。坂元裕二の元で脚本を学び、『FIN』にて第47回城戸賞最終選考に選ばれる。2022年に『ケの日のケケケ』(NHK)が第47回創作テレビドラマ大賞にて大賞を受賞。
音楽を担当するのはharuka nakamura。2024年は蔦屋書店とのコラボレーション音楽「青い森」シリーズ4作品を発表するなど多数のコラボ作品を発表している。2024年に公開された映画『ルックバック』では音楽と主題歌を担当した。
辻村深月(原作) コメント
物語の舞台は2020年、コロナ禍の一年目です。天文部を描いたきっかけは、誰にとっても非日常だったあの日々の中で野外の部活動ならばできるのではないかという単純な思いからでした。けれど、宇宙に目を向けたから見えたこと、著者の私が主人公たちを通じて見せてもらった景色がたくさんあります。志を同じくし、彼らに共感してくださったスタッフ・キャストの皆さんが映画の中で広げてくださった世界もまさにそのひとつです。
皆さんにも、彼らが「この夏」に見た星の輝きを一緒に見届けていただけたら、とても光栄に思います。
桜田ひより コメント
原作者の辻村さんの作品は以前から読ませていただいていたので、出演が決まった時に、まさか自分が辻村さんの世界観に入れるなんて……という嬉しさが込み上がりました。学生時代のなんでもないことで笑い合えたり、一緒に熱くなれる瞬間を同世代の俳優の方々と大切に演じていこうと思いました。
撮影は実際に原作に登場する高校を使わせていただいたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
山元監督は歳がものすごく離れているわけではなかったので、感性や笑いのポイントなどが近いなと感じられる部分も多く、共感し合いながら撮影を進めることができました。共演者のみなさんも本当に素敵な演技をされる方ばかりだったので、たくさん刺激をいただきました。
映画がどのような仕上がりになっているか私自身とても楽しみです。
山元環(監督) コメント
コロナ禍を演出する上での挑戦
表現においても色々な挑戦をしましたが、特に“マスクで表情が隠れてしまう制限を恐れないで描く”ことが挑戦でした。マスクは表情の60%以上を隠し、どうしても人の情報量を減らしてしまいます。マスクを外さないということを徹底した結果、マスクは透明になり、更にマスクを外すことでシーンの鮮度はまた変わります。
この映画は、感情がマスクを飛び越えて、普通では味わえない楽しみがある映画に仕上がっています。
初の劇場長編映画を手掛けてみて
登場人物の数/コロナ禍/マスク/星/望遠鏡など、脚本段階から制作まで一筋縄ではいかない題材の映画でしたが、とにかく想像して、模索して、原作同様に真っ直ぐ熱く届くように作りました。商業映画初監督ですが、映画の力を信じて作れたことに喜びを感じています。『この夏の星を見る』の映画の温度が、少しでも観た人の心の栄養になれば嬉しいです。
辻村深月とのエピソード
この物語は若者に向けられた辻村先生からのエールです。この物語を監督するにあたり、若手である僕の起用を「若い人達にこそ作ってほしい」と言ってくださり、自分を信じて映画を作ろうと思えました。この映画を作った僕自身が、エールをもらい、勇気をもらえたような気がします。
主演・桜田ひよりやネクストブレイクキャストへの印象
主演の桜田ひよりさんは、マスクなんて悠々と飛び越え、逆に表情が印象的で際立っていて、声もとても良かった。ひよりさんの声で表現される言葉に体重を感じて、モニター前で嬉しくなったのを覚えています。
他にも鮮度のある実力派の若手から個性のある俳優の方々まで、観ていただけたら分かる魅力のあるキャラクター達に仕上がっています。コロナ禍で切望した繋がりのある世界を存分に躍動していただきました。
森野マッシュ(脚本) コメント
原作小説の中で繊細かつリアルに語られる、マスクをつけた学生たちの心の内を映像的に表現するという挑戦はとても難しいものでした。それでも、コロナ禍であっても自分にできることを見つけて眩しく輝いている登場人物たちへの憧れが原動力となり、初の映画脚本を書き切ることができました。若手である私たちの代表作になるようにと、常に脚本に寄り添い、やわらかく見守ってくださった辻村先生に、心から感謝をお伝えしたいです。楽しんでいただけますように!

■公開情報
『この夏の星を見る』
7月4日(金)全国公開
出演:桜田ひより
原作:辻村深月『この夏の星を見る』(KADOKAWA)
監督:山元環
脚本:森野マッシュ
音楽:haruka nakamura
配給:東映
©2025「この夏の星を見る」製作委員会
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