『クジャクのダンス』鳴川=阿南の協力者? 怪しすぎる鳴川と神井の行動を振り返る

広瀬すず主演のTBS金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』。第6話では、主人公・山下心麦(広瀬すず)と弁護士の松風義輝(松山ケンイチ)の協力者として鳴川徹弁護士(間宮啓行)が登場。果たして彼は何者で目的は何か。また記者の神井(磯村勇斗)も動き出し、彼もまた心麦にとって味方なのか? これまでのエピソードから考察してみたい。
鳴川弁護士が登場した経緯をまず整理しよう。心麦の父・山下春生(リリー・フランキー)は、22年前に資産家一家惨殺事件「東賀山事件」での遠藤力郎(酒向芳)死刑囚が冤罪だと気づく。春生が真犯人の目星がついたとして独自に調査をしていく中、裁判を傍聴していた姿が目撃されている。

1つは松風が関わる裁判。これは、東賀山事件で力郎の弁護人を務めた三木田辰雄(石丸謙二郎)を訪れた際に、松風を弁護士として勧められたことで確認していたと思われる。もう1つ足を運んでいたのが鳴川弁護士の裁判と判明。松風と法律事務所を共同経営している波佐見幸信(森崎ウィン)が調べ、連絡を取った結果、鳴川が自ら事務所にやってきた。
鳴川はとにかく声が大きく関西弁でまくしたてる陽気な人だが、むしろ相手に隙を与えない態度からは圧力さえ感じる。春生には会ったことはないと言うが、事情はよく知っているようだ。実は元検事で、事務所(名刺には豊沢法律事務所)が銀座にあり息子が代表を務めるも本人は民事にしか興味がないことを嘆いている。また、嫁の実家が大会社で、今さら婿養子になったと言う。要はヤメ検で、検事時代から苗字が変わっているということ。春生が傍聴していた理由は、彼が東賀山事件に関わる検事で、冤罪に関して話をつけに行っていた可能性も。松風も調子の良い鳴川を怪しんでいるように見えた。
また鳴川が「君らに力貸すわ」と協力する意思を見せ、その理由は春生を殺したとされる遠藤友哉(成田凌)はやっていないと思うからだと言う。一見味方のようだが、「ただ今回の事件、遠藤友哉の起訴免れへんやろ。松風先生がどう動こうと思てんのか、まず聞かせてや」と、言葉の通り松風の動きを知るために近づいたとしか思えない。
この鳴川にリンクしてくるのが、阿南由紀検事(瀧内公美)と東賀山事件に関して密に連絡を取り合っている、リュックにカラビナを付けた男。彼はラーメン屋店主・染田(酒井敏也)に春生を監視しろと命令していたり、心麦に春生の書いた手紙は偽装だと認識させることを阿南に指示するなど、東賀山事件の冤罪究明を潰しにかかっているのは明白。犯人、もしくは力郎を冤罪にした当時の検察及び警察の人物である可能性は非常に高い。

阿南に対し、「もし遠藤友哉が無罪になればお前のキャリアも傷がつくだろう、転落するのは一瞬だ」と忠告していることからも、友哉は冤罪だと分かっていそうであり、阿南に対して親心がありそうな発言もしている。阿南とカラビナ男の関係性は検事としての師匠か親子のように見えるが、第6話で阿南は、父と愛人の間の子供で、父親には司法試験を受けている子がいることも明かされた。おそらく父親もそれ相応の仕事をしていると思われ、阿南がカラビナ男に対して、親密だが距離のある敬語を使うのは、父親の愛人の娘という距離感の表れかもしれない。
第5話のラストでカラビナ男が心麦について「確かな目と耳を使って確認しておきたくてな。あの子がどこまで話を掴んでいるのか」と接触することを予告していた。第6話で阿南が、手紙が偽造された可能性を心麦に説得できなかったと報告すると「まぁ多少がっかりな報告ではあったがね、次へ進もう」と歩みを始め、続く場面で心麦と松風が事務所に戻ると鳴川が訪問していた。これはカラビナ男と同一人物である可能性が高いと誰もが思う演出。松風たちの動きを知るのはもちろんのこと、春生が残した冤罪リストのメンバーに共に会いに行くことでさらなる証拠隠滅を企て、圧力をかける可能性もある。考えられるのが、春生が鳴川の裁判を傍聴した後、冤罪について証言することを促したことで消されたという線。
鳴川を演じる間宮啓行が、シェイクスピア作品など舞台演劇を中心として活躍している俳優なだけに、発声の良さとやかましいほどの関西弁でマシンガントークの演技は鬱陶しいと思わせるほどの迫力で、狂気すら感じる。
カラビナ男と鳴川の親和性は、お互いリュックを愛用していて、バックミラーに映ったカラビナ男には、鳴川に似た髭がチラッと見えたこと。あの関西弁で陽気なおじさんを演じているのも、どう考えても別人の演技をしているとしか思えない。
とはいえ、ここまで分かりやすいとミスリードの可能性もあり、事件の被害者である林川家と親しい人物で、歌=心麦ということを知っているからこそ「お嬢」と呼んでいるのかもしれない。本当に味方の可能性も十分にあり、もし検事として過去の事件に関わっていて冤罪への罪滅ぼし、もしくは真相を知りたい人物かもしれない。