藤岡真威人&大友花恋が感じた北大路欣也の凄さとは? 『春を待つこころ』撮影秘話

北大路欣也、『三屋清左衛門残日録』は「大きな宝」

――大友さんから、何か質問することはあったのでしょうか。
大友:こちらから質問していくというよりも、まるで空気のように私たちを包んでくださっていました。撮影の時期は9月でまだとても暑かったのですが、全員に扇風機の風があたるように、北大路さんが調整してくださったり。まだまだ未熟な私にも、いち役者として、撮影の合間もまっすぐ向き合ってくださって、すごく嬉しかったですし、この照日をきちんと演じたいという気持ちがより強くなりました。

――藤岡さんは、青年剣士の役でしたが、父・藤岡弘、さんから伝授されたことはありますか?
藤岡:以前、別の時代劇(『君とゆきて咲く~新選組青春録~』)で沖田総司役をやらせていただいたのですが、信次郎役で本格的な時代劇に取り組むことになり、父にアドバイスを聞きました。すると「北大路さんを見なさい」と。

北大路:お父さんがそう言ったの!?
藤岡:「僕なんかに聞かずに、現場に行って北大路欣也さんを見なさい。その場に行って、見て学びなさい」と言われて、確かにそうだなと。今回、北大路さんの殺陣のシーンは多くはないですが、道場で打ち合うシーンがあったので、拝見していました。そうしたらやっぱり違うんですよね。何と聞かれてもうまく言えないんですけど、軽く打ち込んでいるだけなのに芯があって身が入っているというか。説明が難しいのですが、僕が再現できたとは言いませんけど、グッと込める感じがすごく勉強になりました。
北大路:私も藤岡(真威人)さんの剣道の演習を見ましたよ。「いや、これはすごい!」と思いました。お父さんの血をちゃんと引いていると感じましたね。私が宮本武蔵をやったときに、お父さんが柳生十兵衛で向き合ったことがあって(『徳川剣豪伝 それからの武蔵』)、仲間のような感じがあるんです。やっぱりお父さんの世界で育っている人だなと。その仲間から「見て学びなさい」と言われたとは。実は今回、撮影所に彼のお父さんがいらしてお会いできたんです。何十年ぶりにお会いしたかな。すごく素晴らしい家族なんです。本当にみなさん可愛くて、キレイで、優しくて。
大友:私も北大路さんと藤岡さんのご家族がお会いしている映像を見せていただきました。本当に画面いっぱいに幸せが溢れてました。
藤岡:(照)
北大路:懐かしかったです。(藤岡弘、と)抱き合いました、感動しちゃって。やっぱり昔一緒に頑張った仲間だという気持ちがあるから。会えて本当に嬉しかったです。

――本編の終盤、清左衛門が「得難い宝をもらった」と言います。お三方が、今回の作品を通じて手に入れた得難い宝がありましたら、最後にお聞かせください。
藤岡:この作品に出会えたことです。撮影期間中も、本編が出来上がったときも改めて感じたのですが、なんというか、みなさん本当にいい方々なんです。監督もスタッフさんたちも、衣装あわせのときに初めてお話させていただいたとき、やっぱりみなさんすごい方ばかりですから相応の緊迫感と重圧がありました。でもいざお話してみたら、柔らかくて体がグワっとほぐれました。そこから北大路さんにご挨拶させていただいて、さらに体がほぐれました。そうしたみなさんとの出会いもそうですし、このシリーズに参加させていただけたことが、僕にとって本当に財産です。みなさまとの出会いと、撮影の時間と、できあがった作品、すべてが僕にとって得難い宝物です。
大友:京都撮影所のスタッフのみなさん、そして大先輩のみなさんとひとつの作品を作れたことです。本番前の段どりがなかったり、スケジュール表の書き方が違ったり、スタジオの中で外のロケのシーンを撮ったりと、東京で撮影する現代劇とは雰囲気がまた全然違いました。そのなかで各部署のみなさんが、言われたから動くのではなく、どうしたらこの作品のこのシーン、このカットが生きてくるかをディスカッションしながら撮影していく。その様子を体感できたのがすごく貴重な経験になりました。この記憶を、これからのみなさんにも伝えていけるように、私ももっと成長していきたいなと思いました。
北大路:なにか、もう感動しています。私もスタッフや共演者のみなさんに支えられて、第8作までやってきたことで、こうしてふたりにお目にかかれる出会いをいただいた。だからこんな感動があるわけだし、そこには喜びもあるし、責任もある。それを第1作から一緒に作ってくれたスタッフのみなさまと、共演者のみなさまとともに味わえた。今もこんな言葉をふたりから聞けるとは。本当にすごいなと。そうした仕事をともに無事に作り上げられたことに感謝していますし、私にとって大きな宝です。ありがとうございます。
■放送情報
『三屋清左衛門残日録 春を待つこころ』
時代劇専門チャンネルにて、3月8日(土)19:00〜放送
出演:北大路欣也、優香、松田悟志、小林綾子、藤岡真威人、大友花恋、大貫勇輔、谷田歩、天宮良、金山一彦、マギー、春海四方、菅原大吉、栗塚旭、伊東孝明、田井克幸、田根楽子、伊藤麻実子、小宮有紗、本郷弦、佐藤流司、金田明夫、麻生祐未、伊東四朗
原作:藤沢周平『三屋清左衛門残日録』文春文庫刊/『三月の鮠』(文春文庫『玄鳥』所収)
監督:山下智彦
脚本:いずみ玲
音楽:栗山和樹
製作:石原隆(日本映画放送)、芳賀敏(J:COM)
エグゼクティブ・プロデューサー:宮川朋之(日本映画放送)、塚田英明(東映)
プロデューサー:秋永全徳(日本映画放送)、槌谷英孝(日本映画放送)、井元隆佑(東映)、百瀬龍介(東映)
制作:日本映画放送、東映、「三屋清左衛門残日録 春を待つこころ」パートナーズ:日本映画放送、J:COM、BSフジ
公式サイト:https://www.jidaigeki.com/mitsuya8/





















