『ばけばけ』は“新婚生活”をどう描く? 『あんぱん』『虎に翼』との比較で占う夫婦像

『ばけばけ』は“新婚生活”をどう描く?

 私たちの生きる現実世界では、新しい1年がはじまった。あなたの日常には、どんな出会いや素敵なイベントが待ち受けているのだろうか。この時期はほんの少しの不安とともに、胸が高鳴って仕方ないものである。

 ものごとが進展し、胸の高鳴りを感じずにいられないといえば、放送中の朝ドラ『ばけばけ』(NHK総合)の展開がまさにそうだ。ヒロイン・トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)の関係性がぐっと近いものとなり、これからふたりは夫婦関係を築き上げていくこととなる。果たしてどのような夫婦生活が繰り広げられていくのだろうか。これを機に、ここでは近年の朝ドラが描いてきた“新婚生活の風景”を振り返ってみたい。

 前作『あんぱん』(2025年度前期)は、あの「アンパンマン」の生みの親であるやなせたかしとその妻・小松暢をモデルとした作品で、ヒロイン・のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の歩みを描くものだった。とはいうものの、幼なじみでもあるふたりの歩幅やペースが最初から同じだったわけではない。のぶは若松次郎(中島歩)と見合い結婚し、この現実を前に嵩は途方に暮れてしまった。それから戦争がはじまって、次郎は結核で亡くなり、嵩は過酷な戦場へ。重苦しい展開が続いたものである。

『あんぱん』は長い長い“始まりの物語” のぶと嵩が見つけた絶望と隣り合わせの希望

“逆転しない正義”を追い求めたのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の旅路が、とうとう終わりを迎えようとしている。テレビ局のプロデュー…

 しかしだからこそ、ついにのぶと嵩が結ばれたときには胸がきゅっとした。いくつもの悲しみと苦しみを経験してきたふたりが、もっとも大切な存在が身近なところにいたことを認め、互いに自らの気持ちに素直になる。そうして結ばれたふたりの絆は固かった。ふたりで暮らしを立てていくためならば、貧乏だってへっちゃら。どんな困難も笑い飛ばしてしまう強さがあった。この夫婦があってこそ、「アンパンマン」の存在あり。新婚時代にはまだあの人気キャラクターは誕生していなかったが、視聴者のひとりとしてそう確信できる“風景”が、そこにはあったのだ。

 のぶと嵩が幼なじみだっただけに、ふたりの新婚生活をのぞくのにはちょっとした照れくささを感じたもの。これは私だけではないはず。日々を営むうち、人間の関係性とは少しずつ変わる。私たちの日常だってそうだ。けれどもドラマの場合はその多大な変化をクローズアップするから、登場人物たちの鼓動すらも聞こえてくる。

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