『おむすび』いまだ“震災の記憶”に囚われる孝雄 聖人にこぼす真紀が“生きた証”

『おむすび』“震災の記憶”に囚われる孝雄

「だったら最後にでっかい花火、ぶち上げない?」

 被災地の岩手県から突如やってきた旧友・アキピー(渡辺直美)の昔と変わらぬ明るさに触れ、辛いことや悲しいことも笑って乗り越える“ギャル魂”に再び火がついた歩(仲里依紗)。1月27日に幕を開けたNHK連続テレビ小説『おむすび』第17週「Restart」では、それぞれの再出発が描かれる。

 詐欺師の彼氏に騙され、自身が経営する古着ショップの商品や金庫のお金を盗まれてしまったチャンミカ(松井玲奈)。育児をしながら、管理栄養士を目指して邁進する結(橋本環奈)も歩から報告を受け、2人を心配する。先週は結がほとんど登場しなかったため、なんだか久しぶりな感じ。しかし、今週も歩を中心としたストーリーはまだまだ続きそうだ。

 その後、チャンミカは店を畳むことを決意する。だが、後ろ向きな決断ではない。300万円の借金も抱えているが、当の本人は「まあ、なんとかなるやろ」と前向きだ。その心意気に歩も乗っかり、残りの商品を売るために出血大サービスの閉店セールをしようと言い出す。セールにはチャンミカのギャル仲間たちも駆けつけてくれ、今回の一件に対して自分事のように怒ってくれた。ギャルの情報網を舐めてはいけない。あの詐欺師3人組も案外、早々に捕まるのではないだろうか。またこれだけ人望が厚いチャンミカなら、店を失っても新しい道を切り開けそうな気がする。

 一方、近々大型のショッピングモールができることで、存続の危機に瀕したさくら通り商店街の人たちは抵抗を続けていた。品揃えも豊富で値段も比較的安価なショッピングモールの勢いに呑まれぬように、商店街を盛り上げる方法をみんなで模索する。それほどまでに商店街の人たちが躍起になるのは、やはり震災のことがあったから。

 地震で壊滅的な被害を受けるも、住民同士が支え合い、復興を遂げてきたさくら通り商店街。しかしながら、中には大切にしてきた店を畳まざるを得なかった人も大勢いて、「その人らのためにもうちらが守っていかなあかんねん」と美佐江(キムラ緑子)は決意を語る。その思いに心を動かされたのが、娘の菜摘(田畑志真)だ。現在、菜摘はコンビニで働いており、商品開発のために市場調査をしているという。子供の頃、長引く避難所生活による食物繊維不足で酷い便秘になった菜摘。そんな経験が少なからず進路にも影響を及ぼしたのではないだろうか。“ナベさん”こと、孝雄(緒形直人)が分けてくれたワカメのおむすびに救われた菜摘が、商店街のために「うちもなんか考えてみる」と立ち上がる。その17年越しの恩返しに、胸が熱くなった。

 かたや、孝雄にも大きな転機が訪れる。孝雄のカスタムした靴を履いたギャルのSNS投稿が話題となり、東京シューズブランドからコラボの依頼がきたのだ。しかし、孝雄は依頼を断っており、ギャル仲間から説得を頼まれた歩。そんな中、自宅の階段から落ちた孝雄が脳震とうになり、救急車で病院に運ばれる。階段の板が抜けたことが原因であり、震災があってから一度も修繕していない孝雄の家はあちこちにガタがきていた。それでもなお、孝雄が家の建て直しに踏み出せないのは、娘・真紀(大島美優)が生きた証を失いたくないからだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる