柳楽優弥、『ライオンの隠れ家』は纏うオーラまで違う 『ガンニバル』とのギャップに衝撃

『ライオンの隠れ家』柳楽優弥が見せる新境地

 本作を起点に、『HOKUSAI』や『浅草キッド』、『ザ・ファブル』など、どこか恐怖すら感じさせるほどの狂気的な演技を見せてきた柳楽。近年の作品で特に衝撃的だったのが、『ガンニバル』(ディズニープラス)だ。都会から遠く離れた山間の“供花村”に、家族と共に駐在として赴任した阿川大悟(柳楽優弥)が村で起こる不可解な出来事によって、村の風習に巻き込まれていくヴィレッジ・サイコスリラー。本作を見たときに、これは柳楽にしかできないと思った。じわじわと人間の心をえぐってくるような恐怖と狂気に飲み込まれていく柳楽の鬼気迫る表情には確かな説得力があった。

『ガンニバル』は日本ドラマの新たな夜明けとなる 柳楽優弥の“ヤバい主人公”の圧倒的凄さ

コンテンツ過多の現代、“タイパ(タイムパフォーマンス)”は作品チョイスの重要なキーワードだ。費やした時間に対してどれだけの見返り…

 だからこそ、『ライオンの隠れ家』での演技がとても新鮮に映った。最初は柳楽の優しい目線に戸惑いつつも、次第に生気を帯びた表情に温かい親しみを感じるようになっていった。特に、第8話で美路人とライオンが待つ新潟の佐渡島へと向かった洸人が、久しぶりに再会した愛生(尾野真千子)に向けた優しいまなざしや、募りに募った思いを伝える場面は、じんわりと心にしみるものがあった。

 その演技への説得力をもたらす上で欠かせないのは、柳楽自身がまとっている柔らかいオーラである。もちろん、柳楽の魅力でもある力強い目や凛とした佇まいは残しつつ、これまでの出演作で感じた棘のようなものは一切身を潜め、柔らかな空気感で私たちを包んでくれる。ここまで役柄に寄り添うことができるのは、柳楽の演技力の賜物だろう。2024年の終わりにこの作品に出会うことができて良かった。柳楽の新たな魅力に気づくことができたのだから。

■放送情報
金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:柳楽優弥、坂東龍汰、齋藤飛鳥、佐藤大空(子役)、柿澤勇人 、入山法子、岡崎体育、尾崎匠海(INI)、平井まさあき(男性ブランコ)、森優作、桜井ユキ、岡山天音、でんでん、向井理、尾野真千子
脚本:徳尾浩司、一戸慶乃
主題歌:Vaundy「風神」(SDR/Sony Music Labels Inc.)
演出:坪井敏雄ほか
編成プロデュース:松本友香
プロデュース:佐藤敦司
編成:吉藤芽衣、中野翔貴
製作:TBSスパークル
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lionnokakurega_tbs/
公式X(Twitter):@kakurega_tbs
公式Instagram:lionnokakurega_tbs

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる