『おむすび』神戸出身・新納慎也がもたらすリアリティ キムラ緑子の静かな涙の意味とは

『おむすび』新納慎也がもたらすリアリティ

 『おむすび』(NHK総合)がスタートして、2カ月余り。第50話という節目となる回は、第10週の週タイトル「人それぞれでよか」が示すように、孝雄(緒形直人)の心の復興が繊細に描かれていく。

 さくら通り商店街が夏休みに開く「こども防災訓練」で炊き出し隊長に選ばれた結(橋本環奈)。沙智(山本舞香)、佳純(平祐奈)、森川(小手伸也)といった栄養学校の面々の手も借りて作ったのは、ツナ缶とサバ缶を使ったツナサバけんちん汁、ホカホカわかめご飯のおむすび。阪神淡路大震災が起こった当時の状況を加味した食材と栄養素を考えての献立であり、結にとっては栄養士を志そうと思った原体験に立ち返ったイベントでもある。

 防災訓練では、炊き出しのほかにも、担架や消化器の使い方の講習、「じしんがおきた日」という紙芝居の読み聞かせが行われている。紙芝居を朗読するのは神戸市役所の若林(新納慎也)と結の同級生・菜摘(田畑志真)。特に若林を演じる新納慎也は、実際に阪神淡路大震災で被災しており、1995年1月17日のことを次の世代に伝えていく語り部としてはこれ以上にない適役だろう。ロケは8月21日に神戸市立灘区民ホール近くで行われ、撮影後にはマスコミ向けの取材会が開かれた。新納は「実家もそこら辺に見えてます。この後は実家に帰ります」と話し、取材陣の笑いを誘っていたが、今思い返してみると芝居にもリアリティが生まれる大きな要素だったのだということが分かる。

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 取材回にもう一人参加していたのが、孝雄を演じる緒形直人。ロケに来ることは珍しい役のため暑さもあり、すでにヘロヘロだという。孝雄のシーンは、商店街と真紀(大島美優)の墓参りくらいで、それ以外のロケというのは確かに珍しい。そして、「実際に今でも苦しんでる人が絶対にいるんだという、そういった人の心の痛みみたいなものを今回感じていただけたらいいなと思いながら演じています」と役にかける思いを話していた。

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