『ブルーロック』『バババ』など放送の新アニメ枠 IMAnimationはアニメ産業の新機軸に?

IMAnimationのビジネス的な勝算は?

 近年、テレビ局各局にてアニメを放送する枠の新設が続き、放送時間帯も深夜から全日帯(6:00〜24:00の枠)にシフトする動きがあるなど、テレビ放送においてアニメは存在感を増してきている。その中で、テレビ朝日では毎週土曜23時30分より放送のアニメ枠「IMAnimation」が誕生した。

 同局で2020年に始まった深夜アニメ枠「NUMAnimation」(毎週土曜25時30分〜)の流れを継ぐこの枠では、現在『ブルーロック』第2期が放送中。2025年1月には『ババンババンバンバンパイア』の放送が控え、同作は吉沢亮主演で映画化されることも同時決定した(松竹とテレビ朝日の共同制作)。

 変化が進むテレビ局とアニメの関係性について、ビジネス的な勝算はどこにあるのか。そして視聴者層の変化に合わせて今後どのようなアニメ作品が作られていくのか。テレビ朝日アニメ・IP推進部部長の小野仁氏に話を聞いた。

海外展開を見据えたTVアニメ放送枠の戦略

TVアニメ第2期『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』ノンクレジットOP映像|UNISON SQUARE GARDEN「傍若のカリスマ」|10月5日(土)より放送スタート!

ーー2020年に始まったNUMAnimationから次はIMAnimationへ、テレビ朝日さんはいわゆる深夜アニメ枠に力を入れている印象です。改めてこの流れの経緯を教えてください。

小野仁(以下、小野):テレビ朝日ではもともと『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』という長寿アニメがあり、何十年もアニメをやってきていました。そしてこの2作は長寿アニメの中でも特に海外で成功している2タイトルなんです。局内にはそれを支えてきたスタッフがたくさんいるので、そのノウハウを他のタイトルにも活用できないか、そしてそこにビジネスチャンスがあるのではないか、というアイデアが発端でした。そこで、深夜アニメをやるのか、他のキッズアニメをやるのかという議論を経て、2020年より「NUMAnimation」が始まりました。深夜アニメ枠としては他局よりも後発になりますし、いろんな苦労もあったのですが、そこから得られたものが本当に多くて。振り返ると、試行錯誤の多かった数年間でした。

ーー他局の状況はどのように見ていたのですか?

小野:フジテレビさんが『鬼滅の刃』を23時15分〜放送という浅い時間でチャレンジされていて、MBSさんは元々あった日5(毎週日曜17時〜放送)の枠で挑戦的な作品をやられていて。そういう“全日帯”と呼ばれる24時までの時間帯にアニメでチャレンジをしている風潮を見ていて、自分たちもチャレンジしたいという思いで土曜23時30分より放送の「IMAnimation」の枠を会社の中で上申して、やらせていただくことになりました。

ーーそのようにしてIMAnimationが登場したのですね。

小野:あとは端的に言うと、枠の数が足りなくなってきたんです。プロデューサーたちがやりたい企画がはまらなくなり、1枠だけでは十分にやりたいものができない状況になってきて。スタッフも含めてビジネスをする土台があるのに、それを活かしきれていない。そこで、2つ目の枠を作っていこうという話になり、今の「IMAnimation」に繋がってきました。

ーーちなみに「IMAnimation」の名称にはどのような意味がありますか?

小野:「IMAnimation」はその名の通り「今(イマ)」と「イマジネーション」をあわせた造語ですね。リアルタイム視聴がしやすくて共同視聴がしやすいもの、ということと、想像力がかきたてられるような作品をお届けしたいという想いからです。

ーー作品ラインナップとしてはどのようなものが?

小野:“メジャー”というのは安易な言葉ではありますが、この枠からメジャーなものになってほしい作品だったり、はばかりなく言えば、自分たちが少しでもメジャーな作品に育っていく手伝いをしたいタイトルを出していきたいです。深さもありつつ、より広さを求めたようなタイトルが並んでいけばいいと思っています。

ーー作品選定のプロセスについて教えてください。

小野:基本的にはプロデューサーが企画書を作り、こういうようなパートナーとこれだけの予算でやりたいです、というところで議論をしていく、極めてシンプルなものですね。そのときに、この作品がどれだけビジネス的に拡大するのか、またテレビ朝日としての意義、例えばシリーズで繋がっていくタイプなのか、それともその監督と中長期的に付き合っていきたいからなのか……。そういういろんな武器や目的をしっかり表現してもらいながら、1個1個の作品にチャレンジしています。

ーービジネスという観点で、アニメの企画時には海外の反応を意識するものでしょうか?

小野:むしろそれがスタート地点な気がします。ドメスティックなものがダメだとは全く思っていないのですが、海外で収益が出ないのであれば、国内だけでどういうPL(損益計算書)を作るのかですね。それはプロデューサー側でこういうふうにすれば、過去の実績を見ても自信がありますとか、そういう言葉で説明してもらう。最終的には会社としてのファクターを集めてきて成功させる感じです。最終的にはプロデューサーの思いと、それを実現するために集めた座組と情報で判断していますね。

ーーオリジナルアニメも数多く製作されてきていますが、そちらの取り組みはどのようなものでしょうか?

小野:テレビ朝日ではまず2016年に『ユーリ!!! on ICE』という作品で、オリジナルアニメ企画としての成功体験があるので、常々作っていきたいと思っています。ただ、知名度0から始めなければいけないので、やはり難しさが結構ありますね。しっかりと考えて、できれば定期的にやっていきたいと思っています。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる