『量産型リコ』第3作は“私たち”に寄り添う物語に 与田祐希の真剣な眼差しに射抜かれる

それだけではここまでヒットしなかっただろう。本作ではプラモデルとの出会いをきっかけに、登場人物たちが成長する過程も描かれており、ドラマに奥深さを与えている。例えば、第8話ではリコの高校生の妹・香絵(佐月絵美)が大学に進むべきか、それとも映像の専門学校に行くべきか、という進路の悩みを抱えている。「好きなことで生きていく」という言葉がひとり歩きして、あたかもそれが正しいかのように、若者たちを追い詰めていく。しかし、必ずしも好きなことで生きていくことだけが正解なんてことはない。そんな若者が抱える悩みをじっくり描きながら、映画『ゴジラ』シリーズに登場する「3式機龍」のプラモデルを組み立て、自分とも向き合っていく。ここではプラモデルが登場人物の生き方を肯定する媒介としてドラマのクオリティも担保している。
基本的には1話完結となっているが、第9話~最終話までは温泉リゾート開発計画を機に始まった家族の大喧嘩を、リコがどう解決していくのかが描かれる。正義とは何なのか、リコは壮大なテーマに挑むことになる。シリーズ第1作、第2作と比べると、どこか懐かしさを感じさせる片田舎を舞台に、家族間の問題を扱っているため、より私たちの悩みに寄り添った作品となっているように感じた。プラモデルを通して、リコたち登場人物が新たな視座を獲得できたように、きっとドラマを見終わったときには心がスッと軽くなっていることだろう。些細な悩みを抱えている方にはぜひともおすすめしたい作品である。
■リリース情報
『量産型リコ -最後のプラモ女子の人生組み立て記-』
12月6日(金)Blu-ray&DVD-BOX発売
Blu-ray BOX:20,900円(税込)
DVD-BOX:16,720円(税込)
【特典映像】
スペシャルメイキング映像
【封入特典】
特製ブックレット
出演:与田祐希(乃木坂46)、市川由衣、佐月絵美、矢柴俊博、浅香唯、森下能幸、石田悠佳(LINKL PLANET)、田中要次
原案・企画・プロデュース:畑中翔太(BABEL LABEL)
脚本:畑中翔太、マンボウやしろ、オコチャ
監督:中川和博、ヤングポール、中村祐太郎
OPテーマ:樋口楓「アイムホーム!」(Lantis)
EDテーマ:LINKL PLANET「ソライロ」(SUNRISE Music Label)
プロデューサー:漆間宏一(テレビ東京)、寺原洋平(テレ
ビ東京)、涌田秀幸(C&Iエンタテインメント)
制作:テレビ東京/C&Iエンタテインメント
制作協力:株式会社BANDAI SPIRITS
©「量産型リコ」製作委員会2024





















