広瀬アリスは“芸能の神”にふさわしい俳優だ 『全領域異常解決室』を成立させた演技力

広瀬アリスは“芸能の神”にふさわしい俳優だ

 現在放送中の水10ドラマ『全領域異常解決室』(フジテレビ系)が後半戦に突入し、衝撃的な展開を迎えている。

 全領域異常解決室=全決に配属された元警視庁音楽隊の雨野小夢(広瀬アリス)は、「シャドーマン」「タイムホール」「千里眼」……と不可解な現象に伴い、神“ヒルコ”を名乗る者による事件が次々と起きる中、全決室長代理の興玉雅(藤原竜也)とともに真相を解明してきた。

 第6話では、全決に関わるメンバーが食物の神や交通安全の神、水を自在に操る能力を持つ神であることが明らかに。彼らは、今までの事件を裏で操っていたヒルコの本性を暴くため、警察に協力していたのだった。

 そして第6話は、小夢が自分自身が芸能の神「天宇受売命」という神であることに気づくという衝撃的なシーンで幕を閉じた。キツネダンスを披露したり、音楽隊時代はアイドルのような人気を誇っていたことも、今思えば腑に落ちる。オタク気質の興玉とは対照的に、実体のない迷信や現象をあまり信じていなかった小夢だったが、次第に神々の存在を受け入れるように。この意外な展開には、巧みな脚本と広瀬アリスの違和感を残し過ぎない演技力が相まって“騙された”とも言えるだろう。

 小夢として多彩な姿を見せている広瀬は、とびきり明るい役から平凡な役まで幅広くこなす、言わずと知れた人気女優だが、2024年も一年を通して新たな活躍を見せてくれた。

 月9初主演を飾ったドラマ『366日』(フジテレビ系)では、高校時代に想いを寄せていた遥斗(眞栄田郷敦)と大人になって再会し、交際をスタートさせたヒロイン・明日香を演じた。しかしその幸せの矢先、遥斗が事故に遭い記憶を無くしてしまう。愛する人が同じ状況になったら自分は明日香と同じような行動がとれるだろうか、と思ってしまうほど、献身的に遥斗を支えるが、別人のようになってしまった彼からは愛も感じられず、常に空回り。その姿がなんとも切なく、理不尽な運命に翻弄される広瀬の姿が今までになく印象的に映った作品だった。

 また、WOWOWで放送・配信された『連続ドラマW 完全無罪』では、21年前の「少女誘拐殺人事件」の再審裁判を担当する弁護士・千紗を演じた広瀬。同作のインタビュー(※)で「(オファー当時は)コメディテイストの作品ばかりやっていたので、なんでこの作品に選んでくださったんだろう? という不思議があった」と自分自身でも語るほど、明るいイメージが定着している彼女にとって、深みのあるシリアスな本作の役柄は新境地を開拓するような作品でもあった。

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