一ノ瀬颯、『若草物語』律の役作りで意識した“感情の機微” 「日々アップデートされている」

『若草物語』一ノ瀬颯インタビュー

 堀田真由が主演を務める日本テレビ系日曜ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』が、毎週日曜22時30分より放送中だ。

 1868年に出版されたルイザ・メイ・オルコットによる半自伝的小説『若草物語』が原案の本作。「一家の大黒柱となり、姉妹たちと一生一緒に暮らすこと」を夢に生きる次女の町田涼(堀田真由)、モラハラ気質な彼氏との結婚を望む長女・恵(仁村紗和)、ワケありの沼オトコと急接近する四女の芽(畑芽育)、そして姉妹に言えない秘密を抱えた三女の衿(長濱ねる)が、四者四様の幸せを追いかける社会派シスターフッドコメディーだ。

 今回、幼なじみの涼に20年片思いをしている行城律役の一ノ瀬颯にインタビュー。すると、彼の柔らかい人柄と役に対する思いが垣間見えたーー。

律は“底なしに優しい人”

ーー本作の世界観について、どんなところに魅力を感じましたか?

一ノ瀬颯(以下、一ノ瀬):主軸となる四姉妹が、四者四様でありながら、多くの方に共感してもらえる素敵なキャラクターたちだと思いました。お互いがお互いを認め合いながら切磋琢磨する姿は、作品の大きな魅力だと思いますね。原案は約150年前のものですが、現代でも取り上げられている話題もあって、(視聴者に)「自分のこと」として捉えてもらえる物語だと思います。

ーー中心となる四姉妹の関係性についてどんなことを思われましたか?

一ノ瀬:本当に「みんな違って、みんないい」というか(笑)、それぞれに良いところがあるからこそ関係が成り立っているのかなと思いますし、やはり友達とは違うなとも思いますね。まったく違う性格をしている4人なので、友達だったら何かがきっかけで一生会わなくなる可能性もあると思うんです。でも、そこには「姉妹」というつながりや絆があるから、お互いを理解して、認めて、励まし合う関係性になれている。見ていて「こういう姉妹いいな。羨ましいな」と思います。キャスト4人でいるときも、カメラが回っていても回っていなくても、本当の姉妹なんじゃないかなと思うぐらいすごく楽しそうなのもいいなと思いますね。

ーーご自身が演じられる律についてはどんな印象を持ちましたか?

一ノ瀬:一言で言うと「底なしに優しい人」ですね(笑)。彼は、片想いしている涼に気持ちを伝えてしまうと、自分を意識させてしまうし、押し付けになるんじゃないか……と考えるぐらい相手のことを思いやるんです。2人の関係性も、「律が分かりやすくお節介を焼いて役に立とうとする」というよりは、「優しく包み込んで話を聞いていくうちに、彼女が自分自身で解決していく」というものなので不思議ですよね。

ーー律について、どのように人物像を作り上げていったのでしょうか?

一ノ瀬:監督やプロデューサーの方とお話しすることで、どんどん出来上がっていきますし、シーンによっても変わってくるので、日々アップデートされています。

ーー最初に脚本を読まれたときと実際に演じてみて、ギャップを感じる場面はありましたか?

一ノ瀬:特に涼と相対するときに、塩梅が難しいなと思っていました。気持ちを隠そうと思えば、まったく見せないようにもできるのですが、そんなことをやっても観ている方には伝わらないので、感情の機微をどこまで出すのか……。シーンによっても変わってくるし、一貫性があるようでないので、そこは監督とお話しさせていただいて乗り越えていますね。

ーー勝気で自立心が強い涼ですが、律は彼女のどんなところに惹かれたと思いますか?

一ノ瀬:「自分の心のままに行動できる」というところが羨ましくもあり、尊敬しているところなんだと思います。涼みたいに「こうあるべきだ」に異を唱えて、自分らしく生きているところは律にない部分だし、特に魅力に感じているところなんじゃないかなと思いますね。

ーー考えさせられるやりとりや台詞も本作の注目ポイントです。すでに当たり前になりつつある涼のような「結婚をしない」という選択など、いろいろな価値観と出会える作品ですよね。

一ノ瀬:そのあたりは、150年前の原案でも描かれていることですね。当時はあまり受け入れられなかったかもしれないですけど、今、話題になっているということは、それだけ考える人が増えてきたからですよね。そういう意味で言うと、涼のような考え方も、これからさらに受け入れられていくのかな、と思いますね。

ーー律と涼は幼なじみです。一ノ瀬さんにとって幼なじみはどんな存在ですか?

一ノ瀬:「幼なじみとそれ以降に出会った友達って何が違うのかな」と考えたことがあったんですけど、幼なじみは幼少期に関わっているので、あまり気を遣わず、変に自分を作らずに接することができる存在だと思うんですよね。相手の良い面も嫌な面も全部見たうえで、一緒にいられるし、お互い受け入れあえているので、心からの友人なのかなと思います。最近だと恋愛や友達づくりもSNSやアプリを利用することがあって、新しい考え方だなとは思うんですけど、幼なじみは、親御さんも知っているし、一緒に習い事に行ったり、喧嘩したり小さいころの思い出がすごく多いですよね。人としての信用度みたいなものはより高いのかなと思います。

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