“頂き女子りりちゃん”はいま映画化されるべきなのか? 実話を基にした映画の役割を考える
“頂き女子りりちゃん”映画化決定 小林勇貴が2年ぶり監督復帰、主演はLADYBABY 月街えい
“頂き女子りりちゃん”を題材にした短編映画『頂き女子』の制作が発表された。 恋愛感情を利用して男性から1億5000万円余りを…
当然、制作側もこれらの反応は予期していたはずであり、立花プロデューサーは「映像化に際し、犯罪行為を美化したり犯罪者をまつりあげる意図はありません。事件の背景と構造を読み解き、作品を通して広く知ってもらうことが、類似事件の防止や、社会問題の認知・改善に繋がると考えています」と“頂き女子りりちゃん”をポジティブに捉えるための作品ではないことを主張している。
本作が2年ぶりの監督復帰作となる小林勇貴も「社会の『溝』や『断絶』に焦点を当てています。(中略)社会の中で取り残された人々の声を届け、また現代日本が抱える課題についての議論を促す一助になればと思います」とコメント。
“頂き女子りりちゃん”の事件を描くことで、現代日本が抱える若者の苦悩や孤独を突きつけることによって、社会が変わるきっかけのひとつになること、誰かが救われること、類似事件の防止につながる可能性はあるだろう。「頂く」ことの社会的背景や、それをめぐる倫理観を問い直す彼女の生き方は、特に消費社会やSNSに依存した現代の中で、今後もますます重要なテーマとなっていくことは間違いない。それを映画を通して問いかける意義はある。
しかし、それらを誤解を与えず映画として描くには並大抵ではない覚悟が必要になる。映画は誰かを救いもするし、傷つけもする。これまでも数多くの実在の事件や犯罪を犯した人物を基にした映画が作られてきたが、本作の場合は遠い過去の話でもなく現在の話であり、実際の被害者もいる。課されたハードルは限りなく高いが、どんな作品として作り上げるのか。制作陣には事実に真摯に向き合い、いま作るべきものであることを作品を通して証明してくれることを願う。
参照
※ https://note.com/inu2narenakatta/n/nc775b4bb3dc9
※ https://www.tokai-tv.com/tokainews/feature/article_20240423_33962
※ https://friday.kodansha.co.jp/article/395870
■作品情報
映画『頂き女子』
主演:月街えい(LADYBABY)
脚本・監督:小林勇貴
撮影監督::藤井翔太
美術協力:渡邊真衣
プロデューサー:立花奈央子
アシスタントプロデューサー:石井飛鳥
制作:株式会社オパルス