『無能の鷹』は働く人の心を癒すチルなドラマに 菜々緒の愛すべきポンコツぶりにハマる

『無能の鷹』は働く人たちの心を癒すドラマに

 菜々緒が主演を務める金曜ナイトドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)が、10月11日より放送開始となる。本作は、『Kiss』(講談社)で連載されていたはんざき朝未の漫画を原作としたお仕事コメディ。9月末からスタートしたNHK連続テレビ小説『おむすび』でも注目されている根本ノンジが脚本を手がける。

 またプロデュースするのは、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シリーズの“生みの親”貴島彩理だ。貴島はバラエティ番組のAD・ディレクターを経て、2016年にドラマ制作部へ異動。1年目に若手プロデューサーのトライアル企画で手がけた『おっさんずラブ』が社会現象を巻き起こし、以降も徳尾浩司、大石静、岡田惠和など、さまざまな脚本家とタッグを組んで秀作を世に送り出してきた。

 そんな貴島プロデューサーが手がけるドラマに欠かせないのが、ポンコツキャラの存在。『おっさんずラブ』の春田(田中圭)、『あのときキスしていれば』の桃地(松坂桃李)、『星降る夜に』の深夜(ディーン・フジオカ)、『unknown』の座山(志尊淳)など、少し抜けていて、現実世界だと疎まれたり嘲笑されたりしそうな人たちが、貴島の作品では愛らしさたっぷりに描かれている。

 そのポンコツシリーズの新作、なおかつ歴代最強となりそうなのが、今作の主人公・鷹野ツメ子(菜々緒)だ。菜々緒といえば、その抜群のプロポーションでモデルとして活躍。俳優業に進出してからは、運動神経抜群のボディーガード(『BG〜身辺警護人〜』/テレビ朝日系)、警視庁警務部長の有能な秘書(『七人の秘書』/テレビ朝日系)、努力を惜しまないファッション誌の編集長(『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』/TBS系)、冷静な判断力を持つ看護師(『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』/TBS系)など、ありとあらゆる優秀な女性を演じてきた。

 クールビューティーで凛とした佇まいが印象的な菜々緒が演じる、見るからにデキる女性は確かに魅力的。その一方で、筆者は密かに思っていた。デキるオーラが満載なのに実はポンコツ、逆にポンコツそうな見た目なのに実はデキる人もこの世の中には存在するし、そういう人を描いたドラマがもっとあってもいいのに……と。そんな願いを叶えてくれるのが、本作なのだ。

 鷹野ツメ子は、ITコンサルティング会社「TALON」の新入社員。そのスマートな身のこなしと自信に満ち溢れた佇まいで周りを「こいつはデキる……!」と確信させるが、蓋を開けてみたら何にもできない。コピーひとつまともに取れないし、パソコンは絶望的、「燃費」を「もえぴ」と読んでしまう、清々しいほどのポンコツっぷりで上司たちの頭を悩ませる。この吉本新喜劇みたいにズッコケてしまいそうな見かけ倒し感を実現できるのは菜々緒しかいないだろう。

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