『光る君へ』矢部太郎の泣き笑いの表情の魅力 乙丸が誰よりもまひろと賢子を理解する人物に
乙丸はまひろが藤壺に上がった後、賢子をずっと見守ってきた。まひろと賢子、母と娘の関係について矢部は「賢子さまもね、まひろさまのことが本当に嫌いっていうわけではないと思うんですよね」とコメント。劇中、賢子はまひろを責め立て、「母上なんか大嫌い!」と言い捨てて屋敷を飛び出してしまった。だが、心配そうな乙丸の視線の先で、賢子は一人泣いていた。矢部は「お互いの気持ちがうまく伝わらず、こんな形になってしまっていて、それをやっぱり従者っていうのは見守るしかできないんだなっていう、歯がゆいですね」「何か出過ぎたまねになってしまいますし、何かできるっていうこともないと思いますし、それがやっぱりつらいですね」と、できることが限られてしまう従者としての優しくも切ない苦悩を語っていた。
劇中では、まひろから「賢子が世話になっているのね。ありがとう」と礼を言われ、感極まって涙を浮かべる乙丸の姿が心に残っている。「乙丸って、泣いた顔と笑った顔が同じなの」というまひろの台詞と泣き笑いのようななんとも言えない表情を浮かべる乙丸に思わずクスッと笑ってしまった。そんな乙丸にまひろや為時は微笑みかける。さりげない演技だが、お互いへの深い信頼が感じられ、胸に響いた。
かつてはまひろを、今は賢子を、乙丸は慎ましくもじっと見守る。矢部は従者という立場上、見守るしかできない歯がゆさについて語っていたが、母と娘の距離を縮めるのに一役買うのは、まひろと賢子を見守る中で2人の本心を誰よりも理解している乙丸かもしれない。
■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK