『虎に翼』が伝える“自分軸”で生きる重要性 “優未”川床明日香の戦わない決断が示すもの
のどかについては、意に沿わない選択をしたことで、責任を引き受けて大人になる機会を逸したように見えた。姉であるのどかは優未の決断を理解できたし、誠也(松澤匠)が望む道で生きることを受け入れることができた。自己実現する人の周りには、その人を支え、応援する人がいる。誠也との結婚は、のどかに大人になるきっかけを与えたのではないか。
大人と子ども。自身の行動に責任を取るのが大人なら、その境界線はどこにあるのか。学生運動や凶悪化する事件に対応するための少年法改正が、政府の手で進められようとしていた。主眼は全件送致の見直しと厳罰化。当時、少年事件はまず全件が家裁に送られ、刑事処分相当と認められた事件が検察に逆送されるルールだった。
改正によって重大事件は家裁を飛び越えて、最初から検察で扱われる。そうなると個別の事情が考慮されず、更生の機会が奪われることになりかねない。裁判所をスルーした改正案に「少年たちのことを何も考えていない」と寅子は憤る。あるべき法の水源を守る寅子の戦いがはじまった。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、石田ゆり子、森田望智、土居志央梨、ハ・ヨンス、戸塚純貴、高橋努、平埜生成、塚地武雅、趙珉和、三山凌輝、川床明日香、円井わん、青山凌大、今井悠貴、菊池和澄、井上祐貴、尾碕真花、池田朱那、平田満、余貴美子、沢村一樹、滝藤賢一、松山ケンイチ
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK