塚地武雅の強みは“フィット力”? 『虎に翼』『新宿野戦病院』で見せる“異なる顔”

俳優・塚地武雅の強みは“フィット力”?

 『新宿野戦病院』の面々との間で繰り広げられているハイテンポな会話劇からも見て取れるように、個性的なキャラクターを演じてみせれば彼の右に出る者はそういないだろう。演じ手として、唯一無二の個性とアジを持っている。そのいっぽう、『虎に翼』で担っているのは、個性的な役どころだというわけではない。雲野六郎は「弁護士」というスペシャリティを除けば、どこにでもいる好好爺といった人物だ。

『虎に翼』写真提供=NHK

 同作ではさまざまな問題が描かれるが、主眼が置かれているのは、それらと対峙して成長していくヒロイン・寅子の物語だ。複数の人間ドラマを同時に展開させながらも、やはり重要視されるのは彼女の人生がどのようなものであるのか。各シーンごとに何が大切なのかを的確に捉え、自分の役割に徹することが一人ひとりの俳優には求められている。自分が演じるキャラクターの主張に囚われる者たちばかりでは、半年間もの放送に視聴者はついていけないだろう。

 作品の世界観に適切なかたちでフィットするというのは、想像以上に難しいものなのではないかと思う。とくに、強い個性を持った人物や、名前の立っている人物ならなおさら。『虎に翼』と『新宿野戦病院』における塚地の演技の振り幅ももちろん見ものなのだが、“フィット力”とでも呼ぶべき彼の力こそ注目だと、筆者は思うのだ。

■放送情報
『新宿野戦病院』
フジテレビ系にて、毎週水曜 22:00~22:54放送
出演:小池栄子、仲野太賀、橋本愛、平岩紙、岡部たかし、馬場徹(ドランクドラゴン)、塚地武雅、中井千聖、濱田岳、石川萌香、萩原護、余貴美子、高畑淳子、生瀬勝久、柄本明ほか
脚本:宮藤官九郎
プロデュース:野田悠介
演出:河毛俊作、澤田鎌作、清矢明子
制作:フジテレビ ドラマ・映画制作部
制作著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/shinjuku-yasen/
公式X(旧Twitter):@shinjyuku_yasen
公式Instagram:@shinjyuku_yasen
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