広瀬すずは“奇抜な役に愛される”? 2025年に向けて出演作ラッシュな理由とは
広瀬すずが、世界的文豪の傑作に挑む。カズオ・イシグロの小説『遠い山なみの光』(ハヤカワ文庫)の映画化で主演を務めることが決定し、2025年夏の公開が発表された。デビューからわずか10年余りで、難役をこなす実力派として頭角を現してきた広瀬。その演技力は、国内外の著名な作家や監督からも高い評価を受け、今や日本を代表する若手女優として揺るぎない地位を確立している。
広瀬すずと石川慶監督が初タッグ カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』日英合作で映画化
カズオ・イシグロの小説『遠い山なみの光』(ハヤカワ文庫)が広瀬すず主演で映画化され、2025年夏に公開されることが決定した。 …
本作で広瀬は、原爆を経験した母親役という重厚な役柄に挑戦する。ノーベル賞作家イシグロ本人からも「国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優の一人」と絶賛されるなど、その起用に寄せられる期待は並々ならぬものがある。
振り返れば、広瀬のキャリアは挑戦の連続だった。次々と奇抜で難しい役柄をものにし、その度に新たな一面を見せてきた広瀬。
デビューからわずか2年弱で、16歳にして広瀬はゴールデン帯の連ドラ『学校のカイダン』(日本テレビ系)で主演に抜擢された。演じた春菜ツバメは、エリート高校に特別編入した祖父と2人暮らしの高校生。策略で生徒会長に選ばれながらも、嫌がらせを受けつつ「腐った学園をスピーチで変えていく」という難役に挑戦し、その演技力を発揮した。
15歳で出演した『海街diary』では、是枝裕和監督独特の手法に挑んだ。台本を渡されず、現場で監督から口頭でセリフを伝えられ、共演者の言動も予測できない状況下で演技をするという、ベテラン俳優でも難しい挑戦に果敢に取り組んだ。この経験は、広瀬の即興力と適応力を大きく育てたと言えるだろう。
その後も広瀬は、日本映画界の重鎮たちを魅了し続けた。『ちはやふる』の小泉徳宏監督、『怒り』の李相日監督など、個性豊かな監督たちの下で多彩な役柄を演じ、その都度新たな一面を見せた。『ちはやふる』での映画単独初主演を皮切りに、『ちはやふる -上の句-』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、『怒り』で優秀助演女優賞をダブル受賞。この快進撃を見ていると、ある意味では広瀬という存在が監督たちの創作意欲を刺激する存在であるのかもしれないと思わされるほど。
実際に、『第41回日本アカデミー賞』の最優秀作品賞を受賞した『三度目の殺人』にまつわるインタビューで、是枝裕和監督は「女優としてのポテンシャルの高さを引き出したいという、演出家の欲を掻き立てる対象なんじゃないですか?(自身が撮ることで)もっと出てくるんじゃないか?って」と語り、広瀬の潜在能力の高さを示唆している場面も。(※)