『虎に翼』結婚&再会の幸せに満ちた第21週 朝ドラの“まるで最終回”な演出を振り返る
NHK連続テレビ小説『虎に翼』で、寅子(伊藤沙莉)の弟・直明(三山凌輝)が玲美(菊池和澄)と結婚した。第21週は、直明の盛大な結婚式や、明律大学で寅子が一緒に法律を学んだ仲間たちの再集結など、まるで最終回かのように盛り上がる展開が描かれている。
近年の朝ドラには、今週の『虎に翼』同様、「もしかして今日って最終回!?」と、視聴者から驚きの声が上がるような演出のエピソードがしばしば描かれてきた。これまで、どのような“まるで最終回”演出があったのか振り返ってみたい。
『なつぞら』(2019年度前期)は、第19週にヒロイン・なつ(広瀬すず)と、姉妹のように育ってきた夕見子(福地桃子)の合同結婚式が描かれた。職場の「東洋動画」で出会った坂場(中川大志)との結婚を決めたなつと、実家の菓子屋「雪月」で働く幼なじみの雪次郎(山田裕貴)からプロポーズされた夕見子。
合同で行われた披露宴には、歴代朝ドラヒロインが広瀬を含め6人集結したことでも話題を呼んだ。なつの育ての親で、夕見子の母親でもある富士子役の松嶋菜々子(『ひまわり』)、天陽(吉沢亮)の母・タミ役の小林綾子(『おしん』)、坂場の母・サト役の藤田三保子(『鳩子の海』)、なつの幼なじみ・伸哉(工藤阿須加)の妻・道子役の三倉茉奈(『だんだん』、『ふたりっ子』)、なつの兄・咲太郎(岡田将生)と一緒に東京から駆けつけた川村屋のマダム・光子役の比嘉愛未(『どんど晴れ』)。歴代のヒロイン5人と広瀬が一堂に会するという豪華な演出に加え、タイトルバックはなく、エンドロールに主題歌が流れるといった形式が、最終回と錯覚させた。
『エール』(2020年度前期)は、第21週に慈善音楽会でヒロイン・音(二階堂ふみ)が主人公・裕一(窪田正孝)の曲を歌うという感動的な回があった。思春期を迎えた娘・華(古川琴音)の子育てが落ち着き、再び歌手になる道へと踏み出した音だったが、オペラ「ラ・ボエーム」の舞台を降板し、夢が途切れることに。そんな音を励まそうと、裕一は孤児院「マリア園」の教会で慈善音楽会を開くことを提案。裕一は音のために「蒼き空へ」という曲を作り、大盛り上がりの音楽会が開かれた。
『エール』まるで最終回のような大団円 二階堂ふみの歌声に込められた音楽の素晴らしさ
2020年も残すところ、あとわずか。『エール』(NHK総合)の最終回も近づき、どこか寂しさを抱える私たちに第21週「夢のつづきに…
慈善音楽会には、裕一の小学校時代の同級生で、東京帝国音楽学校を首席で卒業した歌手の久志(山崎育三郎)や、“ミュージックティーチャー”こと、音の音楽教師・御手洗(古川雄大)らも参加。音と裕一による「蒼き空へ」の演奏は非常にエモーショナルで、大団円のような豪華な展開となり、完璧な“まるで最終回”演出だった。