劇場版『ヒロアカ』で宮野真守の「お嬢様」に悶絶 執事役・ジュリオの愛おしさを熱弁する
これまで名だたる声優陣が演じてきた『僕のヒーローアカデミア』。今回、劇場版第4弾『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』のゲスト声優の発表で宮野真守の名前を見つけた時、「逆に出てなかったんだ!」と驚いたアニメファンもいるのではないだろうか。そして映画館を後にしたとき、これまで彼が過去シリーズに出演していなかったことに感謝したはずだ。それほどに、宮野は今作で“ぴったりすぎる”役柄を演じていたのだから。その役こそが、ジュリオ・ガンディーニだ。
ジュリオは、資産家シェルビーノ家に仕える執事。表面上は冷静沈着で言動も丁寧だが、時折垣間見える粗暴な素の部分が、彼の謎めいた一面を際立たせる。
その最大の魅力は、スーツ姿の執事として優雅に紅茶を入れる一方で、育ちの悪さが滲み出る粗野な口調のギャップだ。声の演技という点では、数々のアニメ作品で主演を務め、俳優・歌手としても多方面で活躍する宮野真守の実力は言うまでもない。しかし、まさか『ヒロアカ』で、シリアスからコメディまで幅広くこなす宮野が、口の悪い執事役を演じるとは誰が予想しただろうか。最高の音響環境で宮野真守の「お嬢様」を聞けると思えば、劇場料金の2000円など安いものだ。
原作者・堀越耕平がキャラクター原案を手がけていることもあり、ジュリオはビジュアルも非常に良い。宮野の代表作である某水泳アニメを彷彿とさせるギザ歯ツリ目の特徴が、ファンの琴線に触れないわけがないのだ。身だしなみの整った執事が、大切なお嬢様のために戦いボロボロになっていく姿はもはや“ファンサ”でしかなく、ただただ愛おしい。
……とここまで一息に語ったところで、個性豊かな『ヒロアカ』の世界観の中で、ジュリオに戦闘向きではない、“ある個性”が設定されている点にも注目すべきだろう。
ジュリオは先天的な個性を活かして戦うのではないものの、とにかく強い。彼の武器は、高度な技術が詰め込まれた義手と義足。さらに、特殊なバイクを駆使して戦う姿は、ハリウッド映画にも引けを取らない派手な戦闘シーンで知られる『ヒロアカ』の中でも、特に目を見張るものがある。中でも、ギミックが仕込まれた義眼は敵を絶対に逃さない鋭さを持ち、観る者を惹きつけて止まない。ぎょろりと動く不気味さと、精密な追跡能力が相まったそれは、もはや彼の“最強の個性”とも言えるのかもしれない(普段は眼帯という要素も大変おいしい)。