『リメンバー・ミー』はピクサー屈指の“泣ける映画” キャッチーな名曲がつなぐ家族の絆

『リメンバー・ミー』音楽でつながる家族の絆

 7月19日の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で、ピクサー・アニメーション・スタジオ製作の『リメンバー・ミー』(2017年)が放送される。第90回アカデミー賞で、長編アニメーション賞と歌曲賞を受賞した本作は、日本でも興行収入50億円のヒットとなった。そんな名作『リメンバー・ミー』の見どころを紹介したい。

 メキシコに住む少年ミゲルは、音楽を愛しミュージシャンを目指している。しかし彼の家族では、ある理由から音楽が禁止されていた。家族に隠れて、憧れのミュージシャンのレコードを聞き、ギターの練習に励むミゲル。そんななか、死者が家族に会いに来るという「死者の日」に、彼は呪いを受けて死者の国に飛ばされてしまう。日の出までに生者の国に帰らなければ二度と戻れなくなると知ったミゲルは、ヘクターという男性と出会い、先祖のなかで唯一ミゲルがミュージシャンを目指すことを許してくれるであろう“ひいひいおじいちゃん”のもとへ行くため、死者の国を冒険する。

「レット・イット・ゴー」を手掛けた作曲家による秀逸な音楽

 本作の主題歌「リメンバー・ミー」は、日本版では作品タイトルとなり、アカデミー賞で歌曲賞を受賞した名実ともに名曲だ。手掛けたのは、『アナと雪の女王』(2013年)でやはりアカデミー賞歌曲賞を受賞した「レット・イット・ゴー 〜ありのままで〜」のロバート・ロペスとクリスティン・アンダーソン=ロペス夫妻。ナイロン弦のギターのやわらかな音色がやさしいメロディを引き立て、ストーリーでも重要な役割を果たす。情感豊かなこの曲は、一方でキャッチーさもあり、1度聞けばふと口ずさんでしまう。

 また、ミゲルが歌う劇中歌「ウン・ポコ・ロコ」は、アップテンポの楽しい曲だ。いかにもメキシコらしい色彩豊かな死者の国で、ギターをかき鳴らし、のびのびと歌うミゲルの声に、映画の中の聴衆も、画面のこちらの私たちも魅了される。この曲を手掛けたのは、のちに『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年)のサウンドトラックにも参加することになるジャーメイン・フランコだ。エンディング曲である「音楽はいつまでも」も担当した彼女は、本作のために何度もメキシコを訪れ、現地のミュージシャンの録音を行ったという。「ウン・ポコ・ロコ」には、メキシコの伝統音楽の1つであるソン・ハローチョの要素が取り入れられており、間奏からステージに上がったヘクターのタップダンスも、サパデアードと呼ばれるソン・ハローチョに合わせて踊られるダンスをモチーフにしているようだ。この曲もまた、キャッチーで心に残るサウンドが魅力的だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「作品評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる