『がんばれ!!ロボコン』は今観ても発見ばかり 東映特撮作品のエポックメイキングに

『がんばれ!!ロボコン』は今観ても発見ばかり

 現在、多くのメディアで使われている“ロボコン”というワードが示すものの大半は、全国の高等専門学校の学生が参加するロボットコンテストの略称であり、20年ほど前は、これを題材とした青春映画『ロボコン』(2003年)が公開されたこともある。が、特撮番組に親しんだ世代が「ロボコン」と聞いて連想するのは、ロボットコンテストの方ではなく、昭和のテレビドラマ『がんばれ!!ロボコン』(1974年~1977年)ではないだろうか。

 石ノ森章太郎原作、東映制作という『仮面ライダー』と同じラインの作品だが、こちらはロボットが主人公のホームコメディだ。平成にはテレビドラマ『燃えろ!!ロボコン』(1999年~2000年)、令和には映画『がんばれいわ!!ロボコン ウララ~! 恋する汁なしタンタンメン!! の巻』(2020年)と、時代を超えて何度もリメイクされている名作が、7月17日より東映チャンネルで放送される。

 邪悪な敵に立ち向かう変身ヒーローの活躍が多かった70年代特撮ブームの中、人間社会に貢献するロボットが主人公の実写作品『がんばれ!! ロボコン』は、やや異色であると同時にメイン視聴者の子どもに親しまれやすい題材でもあった。主人公ロボコンは、B級どころではないG級の落ちこぼれロボットで、ロボット学校の教師ガンツ先生に叱られながらも、持ち前のロボ根性で困難に立ち向かって行く。どんなに頑張っても、肝心なところで失敗をしてしまい、ガンツ先生の採点で0点を付けられてしまう。けれども先生がどう評価しようともロボコンの努力を視聴者はちゃんと見ているよ、というドラマ作りも巧妙で、メインターゲットの子どもたちにシンパシーを抱かせる脚本が見事だ。

 この作品のユニークな点は、ロボコンも含め着ぐるみのロボットたちにある。顔出しの俳優によるレギュラーは最小限に留め、ドラマ部分を担うのがロボコンと、その同期のロボット学校の生徒たちなのである。ロボット学校の生徒は同時に5~6体ずつ登場し、2年半に及ぶ放送の中で総勢20体以上の個性的なロボットキャラが作品を彩った。着ぐるみゆえに人間の俳優のように表情は変わらないが(ロボコンのみ両目のパーツ入れ替えで喜怒哀楽は演出される)、その分、ベテランの声優たちがそれぞれのロボットの声を演じて楽しませてくれた。

 ロボコンの声は『天才バカボン』(1971年)のバカボン役で知られていた山本圭子、ガンツ先生は野田圭一、ガリ勉の勉強ロボット、ロボガリに千々松幸子、泥棒ロボットのロボドロに緒方賢一といった具合に、テレビアニメで活躍している声優陣が、スーツアクターのパフォーマンスと併せてロボットたちに魂を吹き込んだ。島田歌穂が素顔で演じるロビンちゃんは、ロボット学校の一員ながらも実はロボコンたちと出自が異なる特異な存在で、1クールを過ぎた辺りで彼女の正体が明かされる。是非とも東映チャンネルの放送で確かめられたし。

 昭和のテレビ番組は、視聴率が好調であればもう1クール、さらに1クールと放送が延長され、結果的に長寿番組になり得たドラマが多い。2年以上も続いた本作はマンネリに陥らないよう、放送期間中にロボット学校のキャラクターを2回ほど大幅に入れ替え、ロボコンが居候する家庭も途中で別の家族に変わっている。

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