岡田将生、『虎に翼』後半戦のキーマンに? どんな役柄も物にする“性格俳優”としての器

岡田将生、『虎に翼』後半戦のキーマンに?

 『虎に翼』の主演である伊藤沙莉とは「マクドナルド」のCMでも共演しており、岡田が披露する“なめらかなダンス”が大きな話題になった。演技者としてのメンタルだけでなく、フィジカル面においても高い柔軟性を持っているのだと驚かされたものだ。岡田は絶えず私たちを鮮やかに裏切ってみせる。

 思い返せば岡田は、初めての朝ドラ出演作品となった『なつぞら』(2019年度前期)でも、強烈な個性を持ったキャラクターを演じていた。彼が演じた奥原咲太郎は情熱的で自由奔放、破天荒な存在であり、ほかの登場人物たちはもちろん、全国のお茶の間をにぎわせた(ザワつかせた……)ものである。ポジションとしてはヒロイン・なつ(広瀬すず)の兄なのだが、これがなかなかの問題児だったのだ。とはいえ、すべては大切な妹のため。感情が先走り過ぎては空回りしてしまうさまを、岡田は力演によって体現していた。岡田自身の演技への真っ直ぐさも相まって、咲太郎はどうにも憎めない魅力的なキャラクターとなっていたのが印象に残っている。しかし今回の星航一は、感情的な咲太郎とは真逆の性格の持ち主のようである。

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 虎に翼 Part1』(NHK出版)にて岡田は、「朝ドラは『なつぞら』以来ですが、撮影期間が長く、その分演じる役をより深く見せることができると思っています。僕は後半から参加させていただきますが、皆さんが紡いだものをしっかりと受け取り、さらに新しい風を吹き込めるように頑張りたいと思います。早くトラコさんに会いたいです」と語っている。

 これを読むかぎり、たしかに“後半から”ではあるが、“長い撮影期間で演じる役をより深く見せる”のが本作における岡田のポジションなのだと分かる。つまりはやはり、これからのキーマンになるであろう存在なのだ。寅子と航一の“通じ合う部分”とは何なのだろうか。

 2024年は主演映画『ゴールド・ボーイ』でサイコな殺人鬼を演じ、主演ドラマ『1122 いいふうふ』(Prime Video)の配信開始に続き、本作『虎に翼』への出演、『錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜』(テレビ東京系)の放送もはじまり、さらには大作映画『ラストマイル』が公開となる。“主演俳優”の器の持ち主にして、唯一無二の“性格俳優”でもある岡田に、まだまだ驚かされることになりそうだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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