二宮和也×中谷美紀×大沢たかお『ONE DAY』の奇跡をもう一度! “特別編”で新たな発見も?

『ONE DAY』の奇跡をもう一度!

 12月24日、クリスマスイブ。街はイルミネーションにあふれ、どこにいってもクリスマスソングを耳にする。サンタさんからのプレゼントを心待ちにしている子どもたちはもちろんのこと、大人もなんだか浮き足立ってしまう。『ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜』(フジテレビ系)はそんな12月24日の、全く関わりを持たない男女3人を中心とした物語だ。

 二宮和也、中谷美紀、大沢たかおがトリプル主演を務めた本作のBlu-ray&DVD BOXが6月19日に発売された。これまで何度もドラマに主演してきたような俳優たちが3人も集い、共演することにも驚いたが、さらに驚いたのはその3人を描く手法だ。本作では、3人の物語が同時並行で進み、12月24日の“1日”を11話かけて描いていく。全く関わりを持たない3人の運命は、小さなことや周囲の人をきっかけに複雑に交差し始める。

 二宮が演じた勝呂寺誠司は、12月24日になった深夜にふと目覚めると埠頭の一角におり、目の前には頭部を撃たれた死体が。そばに落ちていたスマホから聞こえた「早く逃げろ!」という男の声にハッとした誠司は、突発的に走り出し、警察に追われる“逃亡犯”になってしまう。しかもこの時、誠司には記憶がなかった。自分が何者なのか、どうしてここにいるのか、わからないまま彼はひたすらに逃げていく。この誠司を中心とする物語は『逃亡編』として展開していく。

 中谷が演じたのは「横浜テレビ」の報道番組『日曜NEWS11』のキャスター・倉内桔梗。桔梗は誠司が犯人とされた事件のことを聞くやいなや、自転車で現場にやってきて、あとから来た取材陣とともに1分もしないうちに現場レポートを開始した。報道という仕事に誠実に向き合っているように見える桔梗だが、局と番組制作の方針で対立しておりクビ寸前の“崖っぷち”であった。この桔梗を中心とする物語は『地方テレビ局編』となる。

 大沢が演じたのは、代々続いてきた老舗レストラン「葵亭」のシェフ・立葵時生。クリスマスはずっと受け継いできたデミグラスソースを使った料理が主役となるディナーが人気で、忙しくなる予定だった。しかし、逃亡していた誠司が突然、レストランに逃げ込んできたことをきっかけに、大騒動が巻き起こってしまう。この時生を中心とする物語は『レストラン編』となる。

 主人公が異なるこの3編は、ドラマのテイストも全く違う。のちに誠司は国際犯罪組織「アネモネ」に所属していることが判明するが記憶は戻らず、釈然としない。そのうち、組織の2代目ボス・ミズキ(中川大志)と自分を追ってくる警察の蜜谷(江口洋介)や狩宮(松本若菜)に挟まれるような立場となっていく。ドキドキするサスペンス調だ。一方で、桔梗は、局の方針に逆らって独自に誠司のことを調べ、“ある事実”にたどり着く。報道の仕事に携わる者としてなんとしてでもこれをニュースにしたい桔梗は、仲間と協力しながら“あること”を計画していく。こちらはお仕事ドラマのような雰囲気といっていいだろう。

 そして、この2編と一線を画していたのが、「葵亭」。誠司が逃げ込んできた時に、自分の不注意でデミグラスソースの入った大鍋をひっくり返してしまった時生は、レストランを休みにせず、クリスマスディナーを提供するための策を考え出す。でも時生の話はすぐに脱線してしまうし、事件現場のひとつとなってしまった「葵亭」にはいろいろな人がやってきて、常にドタバタ。時生は至って真面目なのにコメディのようなのだ。

 このようにメインの3編だけでも見応えがあるのだが、さらに注目したいのが、複雑に絡み合っていく人間ドラマだ。全く関わりを持たないはずの3人は、誠司が逃亡犯となってしまったことをきっかけに繋がったように見える。だが、本人たちが気が付いていなかっただけで、それ以前から周囲の人を介して“ゆるく”繋がっていた。たとえば、時生の娘・査子(福本莉子)は、桔梗が務める「横浜テレビ」の新人記者である。また、別のところでは、それぞれの思惑が交差する怪しい動きも。誠司にジャーナリストと名乗って近づいてきた柚杏(中村アン)はなぜか警察側の人間と親しく、警察組織の人間でありながら誠司と面識があるらしい蜜谷の行動に、狩宮は不信を募らせていく。メインでないところで少しずつ展開していく“小さなドラマ”の続きこそ、気になることもあるのだ。

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