『虎に翼』和田庵が体現する危うさと幼さ 理想と現実の間で揺れる会話がリアル過ぎる

『虎に翼』和田庵が体現する危うさと幼さ

 一度ははるの財布を盗んで逃げようとした道男だが、はるに「はした金盗んで逃げるより、この家の手伝いをして三食食べて、暖かいお布団で寝る方がお得じゃありませんか?」と諭される。道男を演じている和田は、第57話での花江(森田望智)に対する「おばさんきれいな顔してるな」という言葉を筆頭に、その佇まいから危うさを感じさせる。

 だが、道男自身は本質的にはまだ子供だ。はるとの場面で見せた表情から、道男が求めているのは“親愛”だとうかがえるからだ。財布を盗むところをはるに見られ、道男が気まずそうに顔を見上げた時、その面持ちには幼さが感じられた。食事中、道男がはるを箸で指して「このばあちゃん、頭いいよ」と言うと、当然はるは「やめなさい、お行儀が悪い」と叱りつけるが、この時の道男はムッとしつつも歯向かわない。はるが言っていたように、道男は誰かに優しくされることに慣れていないのだ。だからこそ、何と言えばいいのか、どう行動すべきなのか、反抗する以外にまだ分からないのだろう。

 道男に疑いの目を向けてしまったことを悔やむはるの姿は切なかった。道男が出て行ってからずっと後悔していたと思われるはるは倒れてしまう。花江の呼びかけに応えないことが不安感を煽る。はるの心と体が心配だ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大

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