『虎に翼』高橋努のアウトローなカッコよさ 恐ろしく響く「この国はどんどん傾いていくぜ」

『虎に翼』高橋努のアウトローなカッコよさ

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 虎に翼 Part1』(NHK出版)で高橋は、「寅子を追いかける新聞記者として、その時代の風刺の一つになれたらいいな、どこかアウトローなやさぐれ感が出せればいいなと思っています」とコメントしている。高橋が演じる竹中は、まさにアウトローな佇まいだが、彼が新聞記者として批判的な目を向けるのは決して寅子たち女子部の学生たちばかりではないことが、寅子に向けて発せられた言葉からうかがえる。

「お前の父親なんて最初から誰も見ちゃいない。ただ、ああいうやつらは小さな火の粉も全力で消しにかかるのさ」
「内閣を総辞職させたい奴らが共亜事件を起こしたんだよ」
「俺の見立てじゃ……検察畑出身の貴族院議員、水沼淳三郎辺りだろう」

 第21話で、検察の日和田(堀部圭亮)から報告を受ける水沼(森次晃嗣)の姿が描かれている。報道の世界に身を置く竹中には、真実を求めて闘う寅子がまだ太刀打ちすることのできない、国の闇が見えているのだ。

 竹中は「お前がピ〜ピ〜騒いだところでどうにもならない。目障りだからこれ以上動くな、動くと死ぬぞ」と気だるげな言い方で警告する。だが、演者である高橋のまなざしには寅子を純粋に心配する心情もうかがえた。SNSでも竹中の言葉に「忠告と言うより、助言のように感じた」「記者の竹中さん、正義感は持ち合わせてるんだ。 見直したわ」「記者の竹中さん、いずれ強力な仲間になってくれそうな……」といった声が見られた。

 
 そんな竹中は劇中で「この国はどんどん傾いていくぜ。ハハ」とニヒルに笑っていた。やさぐれた物言いだが、竹中の切れ者な一面が見えた今、そして歴史を知っている視聴者にとって、その言葉の意味は恐ろしく響いたことだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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