『東京タワー』“危険信号”を放つ永瀬廉に釘付け 『厨房のありす』との振り幅も魅力に

『東京タワー』危なっかしい永瀬廉に釘付け

 『厨房のありす』(2024年/日本テレビ系)でも永瀬は恋する男子・倖生を演じていた。倖生の無愛想で近寄りがたいところは透と共通しているといえるだろう。一方で、その生い立ちや、他人から誤解されてしまった経験が災いして、倖生は透とは異なり、いつも自分を卑下してしまうところがあった。だから、倖生はありすに恋をしても「自分なんかが好きになったら迷惑だ」というような思いを打ち消すことができないでいたよう。でも、ありすはそんなことはお構いなしに「倖生さんが好きです!」とストレートに思いを伝えてきた。とびきりの純粋さが倖生の心の壁を壊したのだ。そして倖生はいつしか「ありすをそばで守りたい」と思うようになった。

『厨房のありす』“好き”を伝え合ったありすと倖生 永瀬廉の“真摯な想い”が涙腺を刺激する

心から好きな人に好きだと伝える時、なぜだか涙が溢れてしまった経験はないだろうか。それはきっと、「相手が自分のことを好きじゃなかっ…

 健気に恋をしていた倖生と比べると、『東京タワー』の透の姿は“沼っている”のではないだろうか。詩史と出会ってから透は詩史のことしか考えられなくなっている。「なんでも自分で決めるんだ」「提案じゃない、決定なんだ」。透は友人の大原耕二(松田元太)に詩史のそういうところを「すごい」と言ったけれど、詩史は職業的にもそういうことをしてこなければならなかった人で、その「すごい」ところは当たり前といえば当たり前の能力なのだ。それに、透は気づいていないかもしれないが、前回のバイトより明らかに饒舌になっている。これは“ヤバいやつ”だ。そう思ってハラハラするのに、ズブズブと“沼っていく”透から目が離せない。

 もっと、危なっかしくて脆くて儚い永瀬の演技を見てみたい。これが不謹慎なことはわかっているが、そんな欲求にどうにも抗えそうにない。

■放送情報
『東京タワー』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:00~23:30放送
出演:永瀬廉、板谷由夏、松田元太(Travis Japan)、MEGUMI
原作:江國香織『東京タワー』(マガジンハウス刊、新潮文庫刊)
脚本:大北はるか
音楽:近谷直之
監督:久万真路ほか
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:残間理央(テレビ朝日)、島本講太(ストームレーベルズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日、ストームレーベルズ
©︎テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/tokyotower/
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