長谷川博己が『アンチヒーロー』で視聴者に問いかけるものとは 異色の弁護士役を語る

長谷川博己が『アンチヒーロー』を語る

 長谷川博己がTBS系日曜劇場に帰ってくる。主演作『アンチヒーロー』の第1報が発表されたときから、その情報だけで心が踊った人は多いだろう。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で主演を務めた後は、しばらく映画に活躍の場を移していた長谷川。そんな長谷川が久しぶりのTVドラマで演じるのは「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士。『アンチヒーロー』を通して長谷川は視聴者に一体何を問いかけるのか。放送を前に話を聞いた。

主人公は善悪の境目を両断するキャラクター

――タイトルから察すると、これまで数々の作品で描かれてきた「悪を裁く正義の弁護士」とは正反対のキャラクターになるのかと想像しています。

長谷川博己(以下、長谷川):世間的に「本当に正義なの?」と思うことっていろいろとあると思うんです。そんな誰もが一度は考えたことがある疑問や欺瞞、見過ごされてきたものを、僕が演じるキャラクターはバッと突きつける。どんな性格か、どんな趣向の持ち主なのかは回を重ねるごとに理解していただけると思います。多くは語れないのですが、人格が最初ははっきりと見えないキャラクターになっています。

――本作が突きつけるテーマ「正義とはなにか、悪とはなにか」については?

長谷川:考え始めると深みにはまってしまいますね。日本は法治国家である以上、法律で定められたものに従うべきであり、それに反したら罰せられる。でも、ときに法を逆手に取られるようなことも起きうるので100%法が正義とは言い切れない部分場合もあるのではないかなと。本当の真実は当事者にしか分かりませんしが全ての正義と悪を分けるとは言い切れないような複雑さを改めて感じました。

――『アンチヒーロー』ではまさにそんな正義と悪の曖昧な部分も描かれると。

長谷川:そうですね。僕が演じるキャラクターはそんな善悪の境目を両断するような存在にしたいとは思っています。

――ほかにも実際の裁判を傍聴されてなにか気づきはありましたか?

長谷川:法廷はすごい独特の雰囲気で、これまで自分が知らなかった世界でした。この雰囲気を実際に体験するのと、ドラマなどで観るのとではまったく違うなと。裁判員の方たちも、提示される事実だけではなく、被告人の風貌や身振り手振り、話し方にも影響を受ける。それを思うと、決して法律だけではない、人間がもつ感覚も裁判結果に影響があるわけです。その点は本作が描くテーマにも繋がるものがあると感じました。

――初の弁護士役ということで、専門用語を扱う難しさもあるかと思います。ここまで収録をしてみてその点についてはいかがですか?

長谷川:僕はなぜか長セリフが多い役を演じることが多いのですが(笑)、本作は今までの中でも一番の緊張感と言ってもいいかもしれません。法律的な専門用語もそうですし、事実確認の際の何時何分、何条何項といった細かい数字まで絶対に間違えてはいけない。また、法廷という場所がより緊張感を増加させていますね。あとは何度か傍聴した中で感じたのは、傍聴席に向かっても語りかけるような弁護士の方もいるというところ。その点をイメージしながら、ある種視聴者の方も巻き込むような形で表現できたら一番いいなと思っています。

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