『光る君へ』高畑充希がチャーミングな定子として登場 兼家の信念を受け継ぐ予感も
しかし定子の存在は、一条天皇の母・詮子(吉田羊)に複雑な感情を抱かせる。詮子が内裏へやってきた時、一条天皇は定子とかくれんぼをしていた。一条天皇は大好きな母をかくれんぼに誘うが、詮子は断る。詮子としては国母の立場として、一条天皇に自らの立場を心得てほしいと願っているのだと思うが、詮子の言動は威圧的に映り、元服したとはいえ幼さの残る一条天皇は傷心したはずだ。一方、定子は手習いを嫌がる一条天皇に優しく寄り添うと、手習いが終わったら遊ぶことを約束する。
詮子と定子の対比は、定子が一条天皇にとって素直に甘えられる存在であることを象徴する。けれど定子が兄・道隆の娘であることを詮子は警戒しているようだ。言葉では、これまで遊び相手がいなかった息子の表情が明るくなったと礼を言いながらも、「これからもせいぜい遊んでさしあげておくれ」という物言いには、定子の影響力をけん制するかのような圧があった。
詮子の圧のある物言いに、定子は言い返すことも怯えることもなかったが、微笑みをたたえたまま、その場を立ち去る詮子をじっと見る姿にどこか底知れなさも覚える。中関白家の絶頂期の始まりには定子の存在も大いに関係している。家の繁栄のため、あらゆる手を使って政権を掌握しようとしてきた兼家の信念は、長男・道隆だけでなく、その娘・定子にも受け継がれている、そんな気がしてならない。
■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK