『ストリートダンサー』はインド映画の魅力たっぷり! 日本人ボリウッドダンサーが語る

インド映画にダンスが欠かせない理由とは

ーーダンサーとして活躍されている関本さんは、インド映画のダンスシーンを観る時、どこに注目していますか?

関本:やっぱりバックダンサーに注目しちゃいますね。自分の場合は知り合いが踊っている場合もあるので(笑)。それと、1回のテイクでどれくらい長く撮っているかも見ています。カットを繋いで編集した映像より、ワンテイクで長く撮った映像の方が面白いと感じます。ダンサーが振りをミスしないことが大前提で、カメラワークなどが計算され尽くした画になっているので。古い作品でも新しい作品でも、ワンテイクのダンスシーンを観ると凄いなと感じます。インド映画を観る際は、ぜひバックダンサーにも注目してほしいですね。何度観ても新たな発見があって面白いと思いますよ!

『ストリートダンサー』

ーーコリオグラファーであり、ダンサーでもあるレモ・デソウザ監督の新作『ストリートダンサー』でも、ダンスシーンがたくさん登場しますね。

関本:海外で流行っているダンスバトルを積極的に取り入れたのが、本作のシリーズ第1作『ABCD:Any Body Can Dance』(2013年)、第2作『ABCD 2』(2015年)でした。『ストリートダンサー』も、どのダンサーも動きがキレッキレで揃っていて、さすがレモ・ドウザ監督の作品だと感じましたね。ヒップホップやロボットダンスなど、多様なダンスの描写があったのも面白かったです。インドの方にとっても、昔ながらのトラディショナルなダンスだけでなく、作品を通して新しいスタイルのダンスに出会えるので楽しいかもしれません。

『ストリートダンサー』

ーー“インドらしい”ダンスといえば、パンジャーブ地方の収穫を祝う民族舞踊「バングラー(Bhangra)」が作中で登場していたのが印象的です。

関本:ダンスシーンは全て凄いと感じたけれど、中でも「バングラー」の持つ弾けるような魅力がとてもカッコよかったです。とても良いシーンだったのではないかと思います。

関本恵子
関本恵子

ーーバックダンサー含めて、すべてのダンサーが輝いていました。

関本:主演を務めたヴァルン・ダワン(サヘージ役)とは共演したこともあるのですが、彼もシュラッダー・カプール(イナーヤト役)もやっぱりダンスが上手ですね。プラブデーヴァー(ラーム・プラサード役)やノーラー・ファテーヒー(ミア役)など、周りのキャストのレベルがかなり高いので大変だったと思います。自分も何度かレモ監督の撮影に参加したことがあり、当時のアシスタントをよく知っているのですが、その中の1人が本作で役者として出演していたので、懐かしく感じましたね。レモ監督はとても優しくて、スタッフにも出演者にも愛される方でしたよ。

レモ・デソウザ監督と関本恵子氏
(左から)関本恵子氏、ヴァルン・ダワン、現地ダンサー(提供)
レモ・デソウザ監督と関本恵子氏
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ーー改めて、関本さんが感じた『ストリートダンサー』の魅力を教えてください。

関本:自分にとってインド映画の魅力は、ダンスがあり、喜怒哀楽が激しいところ。そしてインドの神様や文化、社会問題を題材にしている作品が多く、知らない世界を知ることができるところです。上映時間は長い作品が多いですが、長いからこそいろいろな感情やシチュエーションがたっぷりと描かれており、「次はこれが来るのか!」と、観客を飽きさせません。『ストリートダンサー』も、まさに自分が好きなインド映画の要素がたくさん詰まっていました。ダンスを切り口にしていますが、作中では取り扱うのが難しいインドとパキスタンのセンシティブな関係やイギリスの移民の現状など、社会的な問題にも触れています。解決するのがなかなか難しいネガティブな問題を提起しつつ、解決するために動いている人もいるといったポジティブな面も紹介しています。ダンスバトルという入りやすいエンターテインメントをフックに、インドが抱えている問題についても訴えており、「毎日ダンスを踊って楽しく過ごしている」だけではないインド人の姿を観ることができるので、とても良い作品だと思います。

■公開情報
『ストリートダンサー』
3月1日(金)より、新宿ピカデリーほかにて公開
監督:レモ・デソウザ
出演:ヴァルン・ダワン、シュラッダー・カプール、プラブデーヴァー、ノーラー・ファテーヒー
配給:SPACEBOX
2020年/インド/ヒンディー語/142分/G/原題:Street Dancer 3D/日本語字幕:佐藤裕之
©Remo D’Souza Entertainment ©T-Series ©UTV Motion Pictures
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/streetdancer/

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