津田寛治、『さよならマエストロ』現場の凄さを語る 「楽器は違えどみんな戦っている」

津田寛治、『さよならマエストロ』を語る

 TBS日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』に出演中の津田寛治のインタビューコメントが公開された。

 本作は、TBS金曜ドラマ『凪のお暇』(2019年)、『妻、小学生になる。』(2022年)などを手がけた大島里美脚本のオリジナルストーリー。世界的天才指揮者の夏目俊平(西島秀俊)とその娘・響(芦田愛菜)の物語が紡がれていく。

 津田が演じるのは、バイオリニストでコンマスの近藤。解散目前の晴見フィルハーモニーが、本拠地あおぞらホールで行う最後のコンサートが描かれた第6話では、バイオリニストでコンマスの近藤が指揮者としてラストの演奏を飾ったシーンが大きな見どころとなった。

 津田は演じる近藤に愛着を抱いているようで、「近藤って人間臭いなと思いますね。ただ音楽好きのいい人というわけではなく、ちゃんと人生を背負って生きているというか。建設会社の社長という仕事にもすごく誇りを持っているし、家庭では奥さんに弱くて娘にも顎で使われているけれど、家族も大事にしている。そして“家族”と“仕事”という男にとって大切な2つのものの中にバイオリンというのがすごく“ひねった”状態で入っているのがすごくリアルだなと思います」とコメント。

 また、自分の中での近藤の“設定”について、「きっと近藤が社長を務める建設会社は、親から受け継いだものなんじゃないかというのがあって。会社を一代で築いた父親がその経済力を誇示するために息子にバイオリンを習わせて、でも近藤はそれを一度は『やりたくない!』と投げ出したんじゃないかなと思うんですよ。そこで一旦グレて(笑)。でも、“道を外れそうになっていた自分をバイオリンと晴海フィルが救ってくれた”ようなところが彼にはあるんじゃないかと思いながら演じています」と明かした。

 近藤の妻役がLiLiCo、娘役がおじゃすというキャスティングも話題となっている。津田はどんな思いを抱いているのだろうか。

「僕も撮影の前日くらいに知ったのでびっくりしました(笑)。LiLiCoさんとは別の作品で共演したこともありますし、俳優とインタビュアーとしてもご一緒することもあったので気恥ずかしくもありましたが、現場ではLiLiCoさん節全開で楽しそうにやられていたので嬉しかったです。おじゃすさんも、普段TikTokとかで見るようなピンクのウィッグのまま娘役をやられていて、この家族の感じは一体何だろうっていう(笑)。でも、そうだよな、近藤はこういう奥さんが好きで、こういう娘のことも良しとして大切にしているんだなというところも感じて、また一つ近藤という役が深まったように思いました」

 演奏シーンも多数組み込まれている本作。撮影に臨むにあたり、「楽器は違えどみんな戦っている」と津田は現場が一致団結していることを明かす。

「キャラクターみんなが光っている、役者として本当にありがたい台本がある上で、ディレクターさんたちが本当に愛情深くそれぞれの役をすごく大事にして演出してくださっているのを感じます。自分の中から無意識にふわっと出たものを拾ってくれて、『近藤さんだったらここはこうしますね』と積極的に生かしてくれることもあって嬉しいです。演奏シーンでのキャストの団結感もほかの現場にはない感じです。みんなそれぞれ一人でレッスンや自主練をした上で集まっているので、『楽器は違えどみんな戦っている』というリスペクトがお互いに対してあるんです。変に打ち解けてダラダラするのではなく、敬意を持って相手に接しているところが、ほかの現場とは発するエネルギーが違うなと思います。あとはオーケストラの団員役で、音楽家や音大の方々が参加されているんですが、その方々にも助けられていて。役者とは違って“爪痕を残そう”みたいなことを思っていない感じがすごく素敵なんですよ。“ここにある大きな幸せ”の一部になろうとしている感じというか。僕がちょっとしたアドリブを入れても優しく受け入れてくれますし、例えば西島さんがすごくいいセリフを言うと、みなさん本当にボロボロと泣かれていたりもして。芝居しているという感覚ではなく、西島さんのお芝居で物語の中にちゃんと入ってらっしゃるんだなというのもグッときますし、勉強にもなりますね」

 第6話では津田が指揮者として、晴見フィルハーモニーがあおぞらホールで行う最後のコンサートを飾った。このシーンについては並々ならぬ思いがあったと振り返る。

「音楽大学の指揮科の教員の方が振って下さっているお手本動画を見たときに、めちゃくちゃ感動したんですよ。ゴツゴツしているけどアパッシオナートがあって、指揮に対する情熱が近藤の情熱そのものだなと。一見とっ散らかっているようだけど、『あおぞらホールも最後だし、もう晴見フィルも終わりなんだ』という近藤の思いがそこにありましたし、台本を熟読して振ってくださっているんだなというのが分かりました。完全コピーするくらいの気持ちでいたんですが、いざ始めたらそんなのおこがましいくらい難しくて。なので先生に何回かレッスンを受けさせていただいて作っていきました」

 最後に、第7話以降の展開に向けて次のようにメッセージを送った。

「第7話は“うたカフェ二朗”のマスター・小村(西田敏行)にスポットが当たる回で、西田さんが初めて楽器を演奏するシーンもあるんですが、そこでのお芝居が見どころだと思います。個人的には、第8話の西田さんと近藤がサシ飲みするシーンが本当に幸せで、夢みたいな時間でした。西田さんって歌もお上手で音楽家と似たスピリットをお持ちで、ピリピリせずにとにかく現場をみんなで楽しくしよう! という方なんです。そんな空気の中でセリフもどんどん変わっていったり、劇的なことが起こったりもして。だから物語の全体においても、西田さんのお芝居は大きな見どころだと思います。さらに第9話は台本を号泣しながら読んだ記憶があります。僕、このドラマには悪い人が出てこない分、我が子を無意識に傷つけてしまうという点で、実はマエストロ(西島)って一番悪い人なのでは? と思っていて。そのことを志帆(石田ゆり子)は分かっていて、子どものことをちゃんと考えたんだなと思うんです。だからそういう中で娘の響が第9話で放つ言葉というのに、僕は涙が出ましたね。あとは演奏シーンもどんどん佳境に入っていて、最終回はとんでもなく大変な演奏が待っているので楽しみにしていてほしいです。僕も頑張ります!」

■放送情報
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:西島秀俊、芦田愛菜、宮沢氷魚、新木優子、當真あみ、佐藤緋美、久間田琳加、大西利空、石田ゆり子、淵上泰史、津田寛治、満島真之介、玉山鉄二、西田敏行
脚本:大島里美
音楽:菅野祐悟
撮影監督:神田創
音楽監修:広上淳一(東京音楽大学)
全面協力:東京音楽大学
企画プロデュース:東仲恵吾
プロデュース:益田千愛
演出:坪井敏雄、富田和成、石井康晴
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/sayonaramaestro_tbs/

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