『正直不動産2』ディーン・フジオカの悪魔のような所業 悲しい過去を思わせる一幕も

『正直不動産2』神木の悪魔のような所業

 また気になるのは、物語序盤に、すれ違った親子に見せたどこか悲しげな面持ちだ。母と子の何気ない会話に神木は思わず足を止めた。楽しげな親子の様子とは対照的に、神木からは寂しげな空気が醸し出される。そして親子を見送りながら、かすかに微笑んだように見えた。登坂不動産に牙をむく神木はまるで悪魔のようだが、焦りや苛立ち、営業スマイルではないかすかな微笑みから、そんな神木の人間らしい一面が垣間見える。

 神木が登坂不動産を退社し、街頭で鵤にスカウトされるまでの物語はまだ描かれていない。なぜそこまでNo.1にこだわるのか。なぜ姑息な手を使ってでも執念深く永瀬を追い詰めるのか。「地獄? 上等だよ」と口にした神木はもしかすると、とうの昔に地獄を見た人物なのかもしれない。

 第5話では、友人を守りたい一心で“風”に抗う永瀬の姿も心を打った。“風”の力で嘘がつけないことを快く思っているわけではないが、今の永瀬はかつての永瀬とは違う。友人を守るために口を閉ざしていたのは確かだが、真実と嘘の間で葛藤していたようにも見えたのが印象的だった。その後、永瀬は“風”の力なしに、梅村と直に「下手をすれば刑事告訴や民事裁判。最悪、逮捕される可能性もある」と正直に伝えている。

 永瀬が“風”から解放される未来があるのかはわからない。けれど、そのうち、永瀬が自分自身の正直な言葉だけで「お客様が一番幸せになれる家」を提供していくような予感がした。「同級生のためと思って、相手の家族のこと、全然見れてなかった」と反省する永瀬の姿は魅力的に映った。

■放送情報
『正直不動産2』
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
出演:山下智久、福原遥、市原隼人、泉里香、松本若菜、長谷川忍、板垣瑞生、松田悟志、馬場徹、伊藤あさひ、財津優太郎、山﨑努、大地真央、倉科カナ、高橋克典、草刈正雄ほか
原作:大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本)
脚本:根本ノンジ、清水匡、木滝りま
音楽:佐橋俊彦
主題歌:小田和正 「so far so good」
制作統括:黒沢淳(テレパック)、山本敏彦(NHKエンタープライズ)、長谷知記(NHK)
プロデューサー:室谷拡(テレパック)、樋渡典英(NHKエンタープライズ)
演出:川村泰祐(アンドリーム)、金澤友也(テレパック)ほか
写真提供=NHK

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