アンソニー・ウォンにとって“映画”とは? オファーを引き受ける条件を明かす
「香港映画界はまだまだ不安定な状況」
ーー近年は台湾のテレビシリーズなどにも出演されているアンソニーさんですが、俳優としてどのような作品に出たいか、その判断基準は変わってきているのでしょうか?
ウォン:昔はとにかくどんな作品にも出るというスタンスでした。なぜかと言うと、単純にお金がなかったから。そして今あまり作品に出ていないのは、単純にオファーがないからです(笑)。ただ、オファーを引き受けるかどうか、その判断基準はいくつかあるんですよ。
ーーそれはどういうものなんですか?
ウォン:アンケート調査のように20個くらい項目があって、一つずつ◯か×で判断していきます。その総合評価ということになりますね。たとえば、脚本が×でもギャラが○だったら出演する可能性は大いにあります。逆も然りで、たとえノーギャラでも脚本がものすごく良ければオファーを受けることだってある。また、脚本もギャラも良いけど、監督の前作を観たらものすごく酷かった場合は、引き受けるわけにはいきません。言ってしまえば賞レースと似ていて、ケースバイケースですね。
ーーありがとうございます。前回のインタビューでは、「かつての香港映画は死に、新しい世代の監督たちが作る映画こそがいまの香港映画だ」という旨の発言がありました。ここ数年、香港映画界からはヒット作が生まれ、新しい才能も続々登場し、復活の兆しを見せているように思います。アンソニーさんは今の香港映画界をどのように見ていますか?
ウォン:私は物事を判断するときに、あまり期待し過ぎない方がいいと思っています。つい最近も香港映画界では多くの出来事があったのですが、『毒舌弁護人~正義への戦い~』という作品が、興行収入1.21億香港ドル(約22億円)を超え、香港映画の歴代興行収入No.1ヒットを記録しました。これには香港の人たちも大興奮したわけですが、香港映画界全体が盛り上がったかと言うとそうではありません。この状況が数年続けば、復活したと言えるのではないでしょうか。香港映画界はまだまだ不安定な状況だと思います。
■公開情報
『白日青春-生きてこそ-』
シネマカリテほかにて公開中
出演:アンソニー・ウォン、サハル・ザマン、エンディ・チョウ、インダージート・シン キランジート・ギル
監督・脚本:ラウ・コックルイ
撮影監督:リョン・ミンカイ
プロデューサー:ヴィーノッド・セクハー、ソイ・チェン、ウィニー・ツァン、ピーター・ヤム
配給:武蔵野エンタテインメント
2022年/香港・シンガポール/広東語・ウルドゥ語/カラー/DCP/シネマスコープ/ステレオ/111分/原題:白日青春/英題:The Sunny Side of the Street/日本語字幕:橋本裕充/字幕協力:大阪アジアン映画祭/PG12
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