『【推しの子】』アニメの名シーンは実写でどう再現される?  “天才的”演技への難易度

 赤坂アカ×横槍メンゴによる人気マンガ『【推しの子】』が2024年冬に実写化されることが発表され、大きな注目を集めている。ファンのなかには、「原作のあの名シーンをどんな風に再現するのか」と気になって仕方がないという人も多いのではないだろうか。とくに同作に関しては昨年放送されたTVアニメ版が大好評だったため、さまざまな点で比較されることになりそうだ。

齋藤飛鳥、アイとの共通点はプロ意識の高さ 『【推しの子】』実写化はこれ以上ない適任

2023年のアニメシーンを席巻した『【推しの子】』の実写化プロジェクトが発表され、アイ役に齋藤飛鳥が決定した。  同作は、産婦…

 『【推しの子】』は“推し”の天才アイドル・星野アイの子どもとして転生した主人公のアクアが、復讐のために芸能界を生き抜いていくストーリー。芸能界の裏側にまつわる生々しいエピソードが次から次へと出てくる一方、ところどころでファンタジー色が強い展開も挟まれている。

 まず序盤で度肝を抜かれる展開といえば、「オタ芸する赤ちゃん」のシーンは外せない。まだ赤ん坊だった頃のアクアはアイのライブを客席で観た際、双子の妹・ルビーと共にペンライトを振り回してキレキレの“オタ芸”を披露する。おしゃぶりをくわえた赤ん坊が躍動する姿は、「乳児とは思えないキレだ」と周囲をどよめかせ、SNS上でも話題になる……という流れだ。

 アニメ版では2人のオタ芸が贅沢な作画によって表現されており、大きな話題を呼んだことが記憶に新しい。とはいえこれはアニメならではの表現なので、実写版ではいかにして再現されるのか気になるところ。そもそも“中身が大人”の赤ん坊を用意すること自体が不可能なので、CGを活用する形になるかもしれない。

【推しの子】ノンクレジットオープニング|YOASOBI「アイドル」

 また第1話の終盤にも、同じようにアニメならではの表現を活かした名シーンがあった。アクアは深い絶望を味わう出来事が起きた後、芸能界に“復讐すべき人間”がいることに気が付く。そして必ずその人物を見つけ出し、自らの手で命を奪ってみせると誓うのだが、その瞬間に右目の白い星が漆黒に染まり、不気味に輝き出す。ここでは作画のタッチもガラッと変わり、荒ぶる色彩によって燃え上がる復讐心が表現されていた。

 ほかのシーンでも復讐心に駆られたり、悪だくみを思いついたりした際、アクアの右目の星が真っ黒になって輝く表現が頻出している。マンガやアニメでこそ可能な感情表現だが、実写ではいかにしてこれを映像に落とし込むのだろうか。

 また『【推しの子】』には、演技の才能をもった“天才役者”のキャラクターたちが登場する。実写版ではその設定にリアリティを持たせるために、キャスト陣にも高い演技力が求められるだろう。

 1人目の天才といえば、「重曹を舐める天才子役」ならぬ「10秒で泣ける天才子役」の有馬かな。アクアとは幼少期に出会い、その後高校生になった後に『今日は甘口で』(今日あま)という実写ドラマで共演することになる。当初はほかの役者のレベルに合わせていた有馬だが、アクアのお膳立てを受け、大粒の涙を流す名演技によって観る者の心を震わせるのだった。

 ただでさえ説得力を持たせるのが難しい場面だが、そもそも『今日あま』は、“大人の都合で実写化に失敗しかけている人気マンガ”という設定であり、昨今の実写化ブームを皮肉ったような展開となっている。このエピソードが実写化されるのであれば、なおさらハードルは高くなりそうだ。

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