『おっさんずラブ』田中圭が一人二役で見せた新たな色気 大胆過ぎる『VIVANT』ネタも
和泉は今でもテロ組織に復讐することだけを考えており、血だらけになっていたのは返り討ちに遭っていたからだ。天空不動産に転職したのは、組織が潜伏する土地の情報を得るため。秋斗が亡くなったあと、菊之助はそんな和泉とバディを組み、精神的にも彼を支えてきた。過去に縛られ続ける和泉を気遣う菊之助。だが、和泉は「心配すんな、弟」と頭をクシャッと撫でて、先を歩いていくのだった。菊之助の憂いを帯びた表情が示すのは、和泉への特別な感情。リビングで眠る和泉に、そっと口づけをする菊之助は「弟なんかじゃねえよ」と寂しげにつぶやくのだった。
井浦新は今期の連続ドラマでは、『おっさんずラブ-リターンズ-』のほかに、NHK大河ドラマ『光る君へ』で藤原道隆を好演している。蝶子(大塚寧々)が経営する西園寺弓道場で和泉が弓を引く姿は、『光る君へ』藤原家が暮らす東三条殿を彷彿させなくもないが、驚くのは道隆の嫡男・伊周を演じるのが三浦翔平だということ。伊周の登場はまだ先だが、その際には和泉と菊之助を思い浮かべる視聴者が続出しそうだ。
武蔵(吉田鋼太郎)がドラマ・映画好きということから、『おっさんずラブ』シリーズには多くのパロディネタが頻出する。冒頭で先述したように、今回はそのオンパレードであったが、中でも特筆すべきはX(旧Twitter)のトレンドにもランクインするほどの盛り上がりとなった『VIVANT』ネタだろう。
武蔵はヨン様ならぬ“菊様”から、自身が公安であることを聞き、『VIVANT』の野崎(阿部寛)を想起する。「公安って本当にいるんだ!」「え〜! すっげえ〜!」と驚きよりも喜びの方が勝ってしまっている武蔵。「テロ組織に復讐」「土地の情報」というワードもじんわりと『VIVANT』をイメージさせるが、決め手は橋にくくりつけられたロープ。
これは『VIVANT』で山本(迫田孝也)が別班(これを機に観始める方向けに、一応ネタバレ回避)に殺されたシーンを彷彿とさせるシチュエーションであり、当然武蔵は菊之助に口封じされるのだと察知。「確か、これは『VIVANT』で観た……!」と徐々に引きになっていく画に、筆者は声を出して笑ってしまった。和泉が追っているテント……ではなく、テロ組織との今後が描かれるのかは不明だが、今回ここまで大胆なパロディができたのも、『VIVANT』と『教場』どちらにも出演している林遣都の存在は大きいと言える。
■放送情報
『おっさんずラブ-リターンズ-』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~0:15放送
出演:田中圭、吉田鋼太郎、林遣都、内田理央、眞島秀和、大塚寧々、金子大地、伊藤修子、児嶋一哉、井浦新、三浦翔平ほか
脚本:徳尾浩司
音楽:河野伸
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:貴島彩理(テレビ朝日)、神馬由季(アズバーズ)
監督:瑠東東一郎、山本大輔、Yuki Saito
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日
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