『ウィッシュ』が描いたディズニーの“原点” 歴代声優の“同窓会”はファンへの贈り物に
さらに『ウィッシュ』は、100周年記念作品らしくファンへの「サプライズ」も欠かさない。映画内では、これまでの歴史を繋ぐように、ディズニーの過去作へのオマージュが溢れんばかりに盛り込まれている。
例えば、『白雪姫』の“七人のこびと”にインスパイアされたアーシャの友達7人衆や、『ズートピア』の世界観を思い起こさせる子ヤギのバレンティノの「願い」、そして過去のディズニーヴィランの要素を彷彿とさせる王マグニフィコなど、初見でもかなりの数のオマージュを発見できるはず。まるで『ウィッシュ』を原点として、さまざまな願いが各作品の世界へと世に羽ばたいていく粋な演出に心を打たれた。
ディズニープラスで配信中の『Once Upon a Studio』の特別吹替版『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』も劇場限定で『ウィッシュ』と同時上映されている。普段見られないキャラクター同士の交流や、異なる物語や時代を超えたキャラクターたちが一堂に会するシーンが描かれている。ドタバタと集まるキャラクターたちの、予想外のコラボレーションは贅沢としか言いようがない。今はもう劇場で見かけることのできないキャラクターたちの“日本語吹き替えでの最集結”は、「映画館ならではの付加価値」を再認識するきっかけにもなるだろう。
加えて、『ウィッシュ』の特別吹替版にカメオ出演している歴代ディズニー声優陣にも注目して欲しいところ。『アナと雪の女王』エルサ役の松たか子、『ズートピア』ジュディ役の上戸彩、さらには『塔の上のラプンツェル』ラプンツェル役の中川翔子、『ラーヤと龍の王国』ラーヤ役の吉川愛も出演……と、その華やかさはまさに100周年仕様の同窓会のよう。特に『アナと雪の女王2』のオラフ役を務めた武内駿輔演じる、カメのインパクトはぜひ劇場で体感してほしい。これらの声優陣による“豪華すぎるモブキャラ”たちの演技も、映画館でしか体験できない特別な魅力となっている。
ディズニーの次の100年を動かしていくのもまた、新たな願いの力に違いない。映画『ウィッシュ』はこれまでのディズニーの歴史の集大成とも言える作品でありながら、叶わない願いに苦しむ、“今を生きる”人々の背中をそっと押してくれる。全ての願いが叶うわけではないかもしれない。それでも諦めない少女アーシャの願いとの向き合い方こそが、100年を迎えたディズニーによる私たちへの贈り物なのではないか。
■公開情報
『ウィッシュ』
全国公開中
監督:クリス・バック、ファウン・ヴィーラスンソーン
脚本:ジェニファー・リー
音楽:ジュリア・マイケルズ
製作:ピーター・デル・ヴェッコ、フアン・パブロ・レイジェス
声の出演:生田絵梨花(アーシャ役)、福山雅治(マグニフィコ王役)、山寺宏一(バレンティノ役)、檀れい(アマヤ王妃役)、鹿賀丈史(サビーノ役)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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