「オーストラリア先住民映画祭」初開催決定 ドキュメンタリーから短編まで5作品を上映

「オーストラリア先住民映画祭」開催決定

 「オーストラリア先住民映画祭 2024」が、2月3日に東京・渋谷ユーロスペースにて初開催されることが決定した。

 1日限りで開催される本映画祭では、すべて日本初上映となるオーストラリアの先住民の監督によるドキュメンタリー映画から短編作品まで全5作品が上映される。また、会場とオンライン配信のハイブリッド形式での開催となっており、全国からの参加が可能に。

 上映作品には、“砂漠の王者”の称号獲得に人生をかけるライダーたちを追ったドキュメンタリー映画『フィンク 悠久の大地を駆ける』、オーストラリアの女優リア・パーセルが1893年のオーストラリア奥地を舞台に、人種差別と女性蔑視を取り上げた『家畜追いの妻 モリー・ジョンソンの伝説』、ウォリック・ソーントン監督が先住民コミュニティ向けラジオ局のある一夜を描いた短編作品『グリーン・ブッシュ』、古いしきたりによって許嫁となった見ず知らずのふたりをみずみずしいタッチで描いたラブコメディ『マイベッド、ユアベッド』、ヌラヌラ(こん棒)を振り回すおばあちゃんたちに立ち向かう白人の若手警官を描いたコメディ作品『ヌラヌラ』がラインナップされた。

 また、『家畜追いの妻 モリー・ジョンソンの伝説』の監督・主演を務めたパーセル、プロデューサーのベイン・スチュワートの来日も決定。本映画祭でトークイベントも実施される予定だ。

コメント

ジャスティン・ヘイハースト(駐日オーストラリア大使)

「オーストラリア先住民映画祭 2024」を、皆さまにご紹介できることを嬉しく思います。 アボリジナル・ピープルとトレス海峡島嶼民は、古くからストーリーテリングを活用し、現存する世界最古に属する文化を共有してきました。オーストラリアの先住民の人々は、こうした伝統を土台に映画を通じて自らの物語を語り始め、今ではこの分野で卓越した才能を発揮しています。先住民の人々による映画制作が盛んになる中、わが国のこうした人々の多くの物語が、世界に発信されているのは素晴らしいことです。多くの皆さまが、オーストラリアの先住民の創造性を祝う、この映画祭で様々な種類の作品を楽しまれるよう願っています。

ポーリーン・クレイグ(プロデューサー、シドニー工科大学准教授)

過去30年に、オーストラリアの先住民の語り手がカメラの後ろに立って、重要な役割を果たす動きが顕著になりました。そして、世界に波のように押し寄せた先住民映画の一翼を担ったのです。こうしたオーストラリアの先住民映画作家は、自らのストーリーを自らの目線で伝えています。今回のイベントでは、歴史上のストーリーと現代のストーリーを描いた作品がそれぞれ上映されます。その両方をお楽しみいただければ、幸いに存じます。こうしたストーリーがあったからこそ、今日のオーストラリアらしさが確立されたのです。

佐和田敬司(早稲田大学教授)

先住民の文化はオーストラリア芸術のあらゆる分野を牽引している。文学、演劇、ダンス、音楽、美術、そして映画も例外ではない。20世紀の中頃までは先住民が映画をつくることも、演じることも出来ないという根強い偏見があった。それが突き崩され、今や多彩な俳優たち、実力のある監督、脚本家などによって、優れた先住民映画が次々と生み出されている。かつては語られるだけであった彼・彼女らが、みずから語りだし、さらには彼らの文化に無尽蔵にある物語によって、オーストラリアの歴史を語り直そうとしている。先住民映画の現在を、この上映会でぜひ体感してほしい。

村山匡一郎(映画評論家)

オーストラリア映画は今日、世界中でその存在感を高めているが、そんなオーストラリア映画の現状を知る上で、先住民出身の監督・俳優・スタッフを抜きにしては語れない。それほど多くの豊かな才能がオーストラリア映画を彩っているからだ。そんな先住民の伝統文化を受け継ぐ映画人たちが創り出す数々の映画を通して、わが国ではあまり知られていないオーストラリア映画の多様性と魅力に触れる絶好の機会である。

GOMA(オーストラリア先住民族の伝統楽器「ディジュリドゥ」の奏者、画家)

オーストラリア先住民と聞いて何をイメージしますか? ウルル(エアーズロック)、壁画、ディジュリドゥ? この映画祭で上映される作品は全て先住民監督による作品です。’00年代になりスポーツや芸術の領域で先住民スターが誕生し始めました。これから来たるであろう先住民×テクノロジーの革命前にこの転換期の作品達をぜひ観てほしい。あなたが抱いているオーストラリア先住民へのイメージは劇的にアップデートされることでしょう。

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■映画祭情報
「オーストラリア先住民映画祭 2024」
2月3日(土)ユーロスペースにて開催
主催:オーストラリア大使館
共催:ユーロスペース
アドバイザー:Pauline Clague、Penny Smallacombe、佐和田敬司、村山匡一郎、矢田部彦協力:Jungle Music、Screen Australia
宣伝デザイン:100KG
宣伝:大福
公式サイト:https://japan.embassy.gov.au/tkyojapanese/filmfes2024.html

【上映作品】
『フィンク 悠久の大地を駆ける』
監督:ディラン・リバー
出演:デイヴィッド・ウォルシュ、アイザック・エリオット
2018年/92分/オーストラリア

『グリーン・ブッシュ』
監督:ウォリック・ソーントン
出演:デイビッド・ペイジ、テッド・イーガン・ジャンガラ
2005年/27分/オーストラリア

『マイベッド、ユアベッド』
監督:エリカ・グリン
出演:アースラ・ヨビッチ、トレバー・ジェイミソン
1998年/17分/オーストラリア

『ヌラヌラ』
監督:ディラン・リバー
出演:ウェイン・ブレアー、カーン・チッテンデン
2014年/6分/オーストラリア

『家畜追いの妻 モリー・ジョンソンの伝説』
監督:リア・パーセル
出演:リア・パーセル、ロブ・コリンズ
2021年/109分/オーストラリア
※トークイベントあり

■会場・チケット情報
会場:ユーロスペース
Aプログラム、Bプログラム:各500円均一(各回入替制・全席指定席)
※各種割引は適用外
※1月27日(土)0:00より劇場HPにて座席指定券を購入可能、劇場窓口では1月27日(土)開場時から発売開始
※ゲスト・イベント内容は予告なく変更となる場合あり

■オンライン配信チケット情報
1月12日(金)より、peatixにて先着順にて受付
オンライン視聴申込ページ:https://peatix.com/event/3778545/
※無料
※一部ご覧いただけないプログラムあり
※詳細は申し込みページにて

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