『いちばんすきな花』にみる“相容れない価値観”との向き合い方 最終回で4人の共同生活へ
なにかと誤解を受けやすい美鳥を救ったのも、そのままの彼女をまっすぐに見つめてくれた4人の存在だった。そして、その4人と5人組として行動を共にするのは「違うと思う」という美鳥の思いもまた、そのまま受け入れていくことができる4人。この不干渉な寛容さこそが、多様な価値観を尊重するということなのだろう。
そして、その異なる声がたとえ好意であったとしても、受け入れられないものは受け入れないと線引きしていくというのも大切なことだ。夜々から椿へ、そして紅葉からゆくえへの想いも、改めて“その2人組はない“とはっきりさせられた。でも、4人の組み合わせは好きだし、これからも続けていける。美鳥との件があったからこそ、その組み合わせの持つ意味がより明確に伝わってくる。
自分がいいと思うものをいいと言ってくれるだけではなく、受け入れられないものもそのままでいいと言ってくれる人たち。その居心地のいい組み合わせに出会うために、私たちは日々生きているのかもしれない。
こうして様々な作品を観て、SNSで感じたことを発信しているのも、その一つの手段と言えそうだ。もちろんその過程で、相容れない価値観を持つ人の言葉があるのはもはや避けられないこと。心が傷んだり、胸が苦しくなったり、涙が出たりと辛い気持ちになることもあるだろう。でも、この5人がつながったように、広い世界のどこかにはきっと、その声とは違う人たちもいるはずだと思えることができたら、少しは息がしやすくなるような気がする。
否定もしなければ、無理な許容もしない。その価値観で一致した4人は、椿が引っ越すまでの間「ちょっと住んでみる」をしてみることに。この「お邪魔します」「また来てね」から「いってらっしゃい」「ただいま」になる生活が、また4人の関係性にどう影響していくのか気になるところ。そんな暮らしを経験して、果たして彼らは美鳥へ家を引き渡すことができるのだろうか。
いよいよ最終回というタイミングで、待ちに待った4人の共同生活が見られることになるとは。この居心地のよい組み合わせも次回で見納めかと思うと、彼らよりもずっと視聴者のほうがソワソワしているような気がする。
■放送情報
木曜劇場『いちばんすきな花』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:多部未華子、松下洸平、神尾楓珠、今田美桜、齋藤飛鳥、白鳥玉季、黒川想矢、田辺桃子、泉澤祐希、臼田あさ美、仲野太賀ほか
脚本:生方美久
プロデュース:村瀬健
演出:髙野舞
音楽:得田真裕
主題歌:藤井風「花」(HEHN RECORDS / UNIVERSAL SIGMA)
制作・著作:フジテレビ
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