『いちばんすきな花』4人はなぜ友達になれたのか 多部未華子、松下洸平らの深い演技

『いちばんすきな花』4人はなぜ友達に?

 ゆくえを演じている多部未華子は『これは経費で落ちません!』(NHK総合)で演じた森若さんに代表されるように、冷静で鋭い役がよく似合う。数学を「美しく希望がある」と表現するゆくえにもその鋭さの片鱗が見られるが、その能力は、学生時代に周囲の空気を読むために身についたものであることが感じられる。

 夜々を演じる今田美桜は『トリリオンゲーム』(TBS系)で演じたキリカのように高慢で自信たっぷりな女性を嫌味なく演じられる俳優だ。でも夜々は、自分がかわいいと自覚していて、それを武器としている女と思われること、そして自分が生まれ持ったものを武器として使う側に振り切ることができないことを悩んでいる。

 紅葉を演じる神尾楓珠は『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)で演じた大工の匠のように、あまり自分の感情を出さないクールな役を演じることが多い。紅葉も友人にはあまり自分の本心を言わないがそれをよしとしているわけではない。椿に「お腹痛いと言えないんです」と明かしたように、本当は辛い時に辛いと言えるようになりたいと思っているのだ。

 人間というのは多面的で、誰と、どんな場面で接するか、意図するかどうかなどによって見せる顔が異なる。本作では、4人がさまざまなところで見せる顔や行動を繊細に、丁寧に、演じているためそれを深く実感することができる。もしかしたら彼らの演技によって、これまで自分には見えなかった違う一面を発見している視聴者もいるかもしれない。

 本作を観ていると、大人になってから出来た友達が遊ぶ姿は、こんなにも子供っぽく、そして愛らしく見えるのだということにとても驚くとともに、自分にもこんな友達ができたらなという気持ちになる。それほど4人の関係は素敵なのだ。少しでも長く、4人には仲良くいてほしい。できればあの家で。

■放送情報
木曜劇場『いちばんすきな花』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:多部未華子、松下洸平、神尾楓珠、今田美桜、齋藤飛鳥、一ノ瀬颯、白鳥玉季、黒川想矢、田辺桃子、泉澤祐希、臼田あさ美、仲野太賀ほか
脚本:生方美久
プロデュース:村瀬健
演出:髙野舞
音楽:得田真裕
主題歌:藤井風「花」(HEHN RECORDS / UNIVERSAL SIGMA)
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ichibansukina_hana/
公式X(旧Twitter):@sukihana_fujitv
公式Instagram:@sukihana_fujitv

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