第81回ゴールデングローブ賞ノミネーション発表 アニメ映画部門に宮﨑駿&新海誠監督作

第81回ゴールデングローブ賞候補発表

 12月12日(米現地時間)、第81回ゴールデングローブ賞のノミネーションが発表され、アニメ映画賞部門で『君たちはどう生きるか』と『すずめの戸締まり』が候補となり、日本のアニメ作品が大きな躍進を見せた。

 日本が世界に誇る巨匠、宮崎駿が監督・脚本を手がけた長編アニメ映画『君たちはどう生きるか』は、監督にとって10年ぶりとなるファンタジー作品。監督が少年時代に感銘を受けたという、吉野源三郎による小説のタイトルを冠した本作は、母親を火事で亡くし、父親の勝一と共に田舎の「青鷺屋敷」へ引っ越してきた11歳の眞人が、人間に姿を変えられる不思議な青サギに導かれ、生と死が一体となった世界に迷い込んでいくさまが描かれる。

 本作は、ニューヨーク映画批評家協会賞やロサンゼルス映画批評家協会賞をはじめとする賞で最優秀アニメーション賞に輝いているため、ゴールデングローブ賞でも栄冠を手にする可能性が高そうだ。

 『すずめの戸締まり』は、『君の名は。』や『天気の子』などを手がけて高い評価を得た新海誠が監督・脚本を務めたファンタジーアニメ映画。日本中の廃墟に出現する災いの扉を閉じるため、各地を旅しながら自らの使命と向き合う、17歳の高校生・岩戸鈴芽の冒険と成長が美しい映像で綴られる。本作は、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされたが、惜しくも受賞を逃した。

 アニメ映画賞部門では、『君たちはどう生きるか』と『すずめの戸締まり』のほか、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』、『マイ・エレメント』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』、『ウィッシュ』がノミネートされている。

 作品賞(ドラマ部門)のノミネート作品は、“原爆の父”と呼ばれた物理学者ロバート・オッペンハイマーを描く『オッペンハイマー』、20世紀初頭にネイティブ・アメリカンの居留地で実際に起きた連続殺人事件に焦点を当てた『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』、音楽界のレジェンドであるレナード・バーンスタインの愛の物語を綴った『マエストロ:その音楽と愛と』、韓国系移民2人が織りなす運命の再会を描く『Past Lives(原題)』、ナチ党員とその家族の視点からアウシュビッツを描いた『The Zone of Interest(原題)』、フランスの法廷スリラー映画『Anatomy of a Fall(原題)』となっている。

 最多ノミネートは、グレタ・ガーウィグ監督による『バービー』が9部門となり、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が8部門で後に続いた。

 第81回ゴールデングローブ賞の授賞式は、2024年1月7日(米現地時間)に開催される。

第81回ゴールデングローブ賞(映画部門)ノミネーション

作品賞(ドラマ部門)

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』画像提供:Apple TV+

『オッペンハイマー』
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
『マエストロ:その音楽と愛と』
『Past Lives(原題)』
『The Zone of Interest(原題)』
『Anatomy of a Fall(英題)』

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)

『バービー』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

『バービー』
『哀れなるものたち』
『AIR/エア』
『American Fiction(原題)』
『The Holdovers(原題)』
『May December(原題)』

主演男優賞(ドラマ部門)

Netflix『マエストロ:その音楽と愛と』
Netflix映画『マエストロ:その音楽と愛と』

ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』
キリアン・マーフィー『オッペンハイマー』
レオナルド・ディカプリオ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
コールマン・ドミンゴ『Rustin(原題)』
アンドリュー・スコット『異人たち』
バリー・コーガン『Saltburn(原題)』

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ニコラス・ケイジ『Dream Scenario(原題)』
ティモシー・シャラメ『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』
マット・デイモン『AIR/エア』
ポール・ジアマッティ『The Holdovers(原題)』
ホアキン・フェニックス『ボーはおそれている』
ジェフリー・ライト『American Fiction(原題)』

助演男優賞

『哀れなるものたち』©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ウィレム・デフォー『哀れなるものたち』
ロバート・デニーロ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
ロバート・ダウニー・Jr.『オッペンハイマー』
ライアン・ゴズリング『バービー』
チャールズ・メルトン『May December(原題)』
マーク・ラファロ『哀れなるものたち』

主演女優賞(ドラマ部門)

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』画像提供:Apple TV+

リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
キャリー・マリガン『マエストロ:その音楽と愛と』
サンドラ・ヒュラー『Anatomy of a Fall(英題)』
アネット・ベニング『ナイアド ~その決意は海を越える~』
グレタ・リー『Past Lives(原題)』
ケイリー・スピーニー『プリシラ』

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)

『バービー』©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

ファンティジア・バリーノ『カラーパープル』
ジェニファー・ローレンス『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』
ナタリー・ポートマン『May December(原題)』
アルマ・ポウスティ『枯れ葉』
マーゴット・ロビー『バービー』
エマ・ストーン『哀れなるものたち』

助演女優賞

Netflix映画『ナイアド ~その決意は海を越える~』

エミリー・ブラント『オッペンハイマー』
ダニエル・ブルックス『カラーパープル』
ジョディ・フォスター『ナイアド ~その決意は海を越える~』
ジュリアン・ムーア『May December(原題)』
ロザムンド・パイク『Saltburn(原題)』
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『The Holdovers(原題)』

監督賞

ブラッドリー・クーパー『マエストロ:その音楽と愛と』
グレタ・ガーウィグ『バービー』
ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』
クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
セリーヌ・ソン『Past Lives(原題)』

脚本賞

グラタ・ガーウィグ&ノア・バームバック『バービー』
トニー・マクナマラ『哀れなるものたち』
クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
エリック・ロス&マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
セリーヌ・ソン『Past Lives(原題)』
ジュスティーヌ・トリエ&アルチュール・アラリ『Anatomy of a Fall(英題)』

作曲賞

ルドウィグ・ゴランソン『オッペンハイマー』
ジャースキン・フェンドリックス『哀れなるものたち』
ロビー・ロバートソン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
ミカ・レヴィ『The Zone of Interest(原題)』
ダニエル・ペンバートン『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』
久石譲『君たちはどう生きるか』

主題歌賞

「What Was I Made For?」『バービー』
「Dance the Night」『バービー』
「Addicted to Romance」『She Came to Me(原題)』
「Peaches」『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
「I’m Just Ken」『バービー』
「Road to Freedom」『Rustin(原題)』

非英語映画賞

『Anatomy of a Fall(英題)』(フランス)
『枯れ葉』(フィンランド)
『Io Capitano(原題)』(イタリア)
『Past Lives(原題)』(アメリカ)
『雪山の絆』(スペイン)
『The Zone of Interest(原題)』(イギリス)

アニメ映画賞

『すずめの戸締まり』©︎2022「すずめの戸締まり」製作委員会

『君たちはどう生きるか』

『マイ・エレメント』

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『すずめの戸締まり』

『ウィッシュ』

第81回ゴールデングローブ賞(テレビ部門)ノミネーション

作品賞(ドラマ部門)

『THE LAST OF US』©2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

『1923』
『ザ・クラウン』
『ザ・ディプロマット』
『THE LAST OF US』
『ザ・モーニングショー』
『メディア王 〜華麗なる一族〜』

作品賞(ミュージカル・コメディ部門)

『一流シェフのファミリーレストラン』
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
『アボット エレメンタリー』
『ジュリー・デューティ ~17日間の陪審員体験~』
『マーダーズ・イン・ビルディング』
『バリー』

作品賞(リミテッドシリーズ/アンソロジーシリーズ/テレビ映画)

『すべての見えない光』
『BEEF/ビーフ 〜逆上〜 』
『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』
『FARGO/ファーゴ』
『Fellow Travelers(原題)』
『レッスン in ケミストリー』

主演男優賞(ドラマ部門)

ペドロ・パスカル『THE LAST OF US』
キーラン・カルキン『メディア王 ~華麗なる一族~』
ジェレミー・ストロング『メディア王 ~華麗なる一族~』
ブライアン・コックス『メディア王 ~華麗なる一族~』
ゲイリー・オールドマン『窓際のスパイ』
ドミニク・ウェスト『ザ・クラウン』

主演女優賞(ドラマ部門)

ヘレン・ミレン『1923』
ベラ・ラムジー『THE LAST OF US』
ケリー・ラッセル『ザ・ディプロマット』
サラ・スヌーク『メディア王 ~華麗なる一族~』
イメルダ・スタウントン『ザ・クラウン』
エマ・ストーン『The Curse(原題)』

主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)

ビル・ヘイダー『バリー』
スティーヴ・マーティン『マーダーズ・イン・ビルディング』
マーティン・ショート『マーダーズ・イン・ビルディング』
ジェイソン・シーゲル『シュリンキング 悩めるセラピスト』
ジェイソン・サダイキス『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』
ジェレミー・アレン・ホワイト『一流シェフのファミリーレストラン』

主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)

アヨ・エデビリ『一流シェフのファミリーレストラン』
ナターシャ・リオン『Poker Face(原題)』
キンタ・ブランソン『アボット エレメンタリー』
レイチェル・ブロズナハン『マーベラス・ミセス・メイゼル』
セレーナ・ゴメス『マーダーズ・イン・ビルディング』
エル・ファニング『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』

主演男優賞(リミテッドシリーズ/アンソロジーシリーズ/テレビ映画)

デヴィッド・オイェロウォ『Lawmen: Bass Reeves(原題)』
ジョン・ハム『FARGO/ファーゴ』
マット・ボマー『Fellow Travelers』
サム・クラフリン『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』
スティーヴン・ユァン『BEEF/ビーフ ~逆上~』
ウディ・ハレルソン『ホワイトハウス・プラマーズ / 米国政治の失墜を招いた男たち』

主演女優賞(リミテッドシリーズ/アンソロジーシリーズ/テレビ映画)

アリ・ウォン『BEEF/ビーフ ~逆上~』
ブリー・ラーソン『レッスン in ケミストリー』
エリザベス・オルセン『ラブ&デス』
ジュノー・テンプル『FARGO/ファーゴ』
レイチェル・ワイズ『戦慄の絆』
ライリー・キーオ『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』

助演男優賞

ビリー・クラダップ『ザ・モーニングショー』
マシュー・マクファディン『メディア王 ~華麗なる一族~』
ジェームズ・マースデン『ジュリー・デューティ ~17日間の陪審員体験~』
エボン・モス=バクラック『一流シェフのファミリーレストラン』
アラン・ラック『メディア王 ~華麗なる一族~』
アレクサンダー・スカルスガルド『メディア王 ~華麗なる一族~』

助演女優賞

エリザベス・デビッキ『ザ・クラウン』
アビー・エリオット『一流シェフのファミリーレストラン』
クリスティーナ・リッチ『イエロージャケッツ』
J・スミス=キャメロン『メディア王 ~華麗なる一族~』
メリル・ストリープ『マーダーズ・イン・ビルディング』
ハンナ・ワディンガム『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

参照

https://goldenglobes.com/nominations/2024

■公開情報
『君たちはどう生きるか』
全国公開中
出演:山時聡真(眞人)、菅田将暉(青サギ ・ サギ男)、柴咲コウ(キリコ)、あいみょん(ヒミ)、木村佳乃(夏子)、木村拓哉(勝一)、大竹しのぶ(あいこ)、竹下景子(いずみ)、風吹ジュン(うたこ)、阿川佐和子(えりこ)、滝沢カレン(ワラワラ)、國村隼(インコ大王)、小林薫(老ペリカン)、火野正平(大伯父)
原作・脚本・監督:宮﨑駿
音楽:久石譲
主題歌:米津玄師「地球儀」
製作:スタジオジブリ
配給:東宝
©2023 Studio Ghibli

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