『ブギウギ』における“おでん屋”の意義 朝ドラにおける憩いの場=“喫茶店”を振り返る

『ブギウギ』における“おでん屋”の意義

 『まんぷく』(2018年度後期/NHK総合)で登場する「パーラー白薔薇」は、かつて俳優志望だった川上アキラ(加藤雅也)と宝塚の道に進んだ経験のあるしのぶ(牧瀬里穂)が営む喫茶店。ここは主人公・福子(安藤サクラ)のアルバイト先であり、「まんぷく食品株式会社」の社員が集まる場でもあった。集まる人が多ければトラブルも起きる。そのため白薔薇がトラブルの舞台にもなってしまうこともあったが、コテコテの関西弁で夫婦漫才のようなやり取りを繰り広げるふたりによって、その場の空気が凍りつく、ということになることはなかった。

 本作で登場したのは、朝ドラでは定番とも言える喫茶店ではなくおでん屋、しかもその主人も夫婦ではなく、江戸っ子のおっちゃんだ。スズ子は華やかなステージの真ん中に立つ人気女優。そんな彼女が舞台を降りたら、ちょっとおしゃれな喫茶店へ行く。それはそれで素敵だが、こういうのを楽しめるのはスズ子ではなく、リリー白川(清水くるみ)のような人だろう。ひと仕事終えたら下町の屋台おでん屋で1杯やり、「あ゛ーー」と言ってるスズ子のほうがオフ感があるし、想像ができる。本作で定番から外れた飲食店が登場した背景にはそんなスズ子のキャラクターも関係しているのかもしれない。

 戦争の影響が一般市民にも出てきている中、実は伝蔵が店を開けるのも楽ではないはずだ。それでもなんとかして、スズ子や梅吉のホッとできる場所を続けていってほしいと願っている。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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