『セクシー田中さん』“いい人”ではないからこそ魅力的な男性陣 『ザワ』コンビの再会も

『セクシー田中さん』魅力的な男性陣

 進吾もつかみどころがない性質で、朱里とつかず離れずの関係性でいることで彼女を不安定にさせてきたが、それでも、朱里の友人が合コンで性被害に遭いそうになったときには、バイトを抜け出してまでかけつける正義感もあり、「今度から、ほかの男と飲むときは、俺のバイト先で飲め、2秒で行けるから」と言うようなまっとうさも持っている。彼のまっとうさが、朱里の家に泊まりながらも、友達として二度と手を出さないということにつながっているのではないかとも思えるのである。

 三好に関して言えば、既婚者とはいえ、配偶者は外国人でビザや手続きの関係で何年も会っていないと笙野に告げるシーンがある。原作マンガでは、これに加え、移民で行き場のない妻を放っておけないというニュアンスもあり、困っている人や弱い立場の人に寄り添える人であり、そのことでどんな女性にもチャラく接してしまうのだなと思わせる。

 ほかの物語であれば、笙野のようなミソジニーの強いキャラクターが、徐々に変わっていくことは視聴者として受け入れがたく、都合がよすぎると感じてしまうことは多い。しかし、このドラマを観ていると、知らず知らずのうちに変わろうとしている笙野や、そのほかの男性キャラクターのことも応援している自分がいる。

『セクシー田中さん』

 なぜ笙野を応援してしまうのかと考えると、笙野のミソジニーや偏見は、家族の在り方、もっと言えば父親に感化されたことも大きく、それ以外にも学校や職場などの環境によって、長年にわたって蓄積=インストールされたものなのだろうということがドラマから伝わってくるからかもしれない。

 田中さんを人として尊敬するようになったり、朱里に怒られたり、そしてときに手練れだからこそ、女性を冷静に見ている小西から冷静なツッコミを受けるうちに、笙野はそのインストールされたミソジニーを少しずつ取り払っていっている。その過程を丁寧に、ときにおもしろおかしく描いているから、笙野の変化を自然に受け入れることができているのかもしれない。

■放送情報
日曜ドラマ『セクシー田中さん』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:木南晴夏、生見愛瑠、毎熊克哉、川村壱馬(THE RAMPAGE)、前田公輝、高橋メアリージュン、生駒里奈、なえなの、円井わん、坂ノ上茜、水沢エレナ、星乃夢奈、平野沙羅、西田麻耶、安田顕
原作:芦原妃名子『セクシー田中さん』(小学館『姉系プチコミック』連載中)
脚本:相沢友子
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:大井章生、田上リサ(AX-ON)
演出:猪股隆一、伊藤彰記(AX-ON)
音楽:日向萌
主題歌:「ドレスコード(Prod. imase)」LE SSERAFIM(ユニバーサルミュージック)
©︎芦原妃名子/小学館/NTV
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