『ブギウギ』富田望生が残した強烈なインパクト 不安を抱えるスズ子とのコントラスト

富田望生の熱唱が響き渡った「会津磐梯山」

 「ハァー、ヨイト!」と響く伸びやかな声から、小夜(富田望生)の魅力が溢れ出す。NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の第9週となる「カカシみたいなワテ」が放送され、スズ子(趣里)の元に、弟子を志願する小夜がやってきた。だが事態は急展開を迎える。

 新しい下宿先が見つかるまでの間、スズ子と梅吉(柳葉敏郎)の暮らす部屋に転がり込むことになった小夜。「オレ、親に捨てられだんです」という身の上話とともに、あっという間に梅吉の懐に飛び込んだ。小夜が虜にしたのはスズ子や梅吉の心だけではない。突然登場して視聴者の関心までかっさらっていったのだ。

 そんな小夜は福島なまりの明るい女の子。勢いがあり、怖いもの知らず、見知らぬ人の元にも飛び込める度胸がある。一方で、本人も言うように「調子に乗りすぎる」ところがあり、スズ子の部屋に来た翌日の夜にはもう追い出されてしまった。登場したのは今のところたった2話だが、富田の熱演もあり、小夜は強烈なインパクトを残す。特に印象的だったのが、やはり会津地方の民謡「会津磐梯山」の歌唱シーンだろう。

 「歌手になりたい」と上京した小夜だが、歌唱を披露したのはこの「会津磐梯山」のみ。だが、伸びやかな歌声とハリのある声質が視聴者の間で話題となった。この「会津磐梯山」は富田の出身地・福島県の民謡で、過去に美空ひばりや三橋美智也、小林旭、そして‎宇多田ヒカルの母親である藤圭子などがレコードにしている。会津の人々にとっては馴染み深い歌であることから、『ブギウギ』をきっかけに「盆踊りで聞いた」「おじいちゃんが歌ってくれた」など、SNSで思い出を語る人も多かった。

 特に「小原庄助さん」から始まる部分は、福島県民でなくともなんとなく聞き覚えがあるフレーズなのではないだろうか。この「小原庄助さん~」の部分は、昭和9年に「会津磐梯山」がレコード化されるときに、「元の歌詞のままではつまらないから」という理由で付け加えられたという驚きのエピソードもある。

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