『幽☆遊☆白書』蔵馬の“声”はなぜ衝撃を呼んだ?  緒方恵美にまつわるアニメ版の逸話

『幽☆遊☆白書』蔵馬の“声”はなぜ衝撃に?

 またアニメ『幽☆遊☆白書』のこぼれ話としては、ほかにも“声優変更”のエピソードが存在する。

 蔵馬は人間としての姿とは別に、妖怪としての力を取り戻した「妖狐蔵馬」の姿をもつ。この妖狐蔵馬の声は、「暗黒武術会編」までは『ドラゴンボールZ』人造人間17号役、『新機動戦記ガンダムW』トロワ・バートン役などで有名な中原茂が担当していた。

 しかし物語が進んで「魔界の扉編」に入ってからは、妖狐形態の声も緒方が演じるように。謎めいた声優交代だが、ここにはしっかりとした演出意図が存在していた。2014年3月に、緒方が自身のX(旧Twitter)で明かしたところによると、妖狐形態でも人間の心を持ったままであることを表現したいという監督の要望があり、物語後半の妖狐蔵馬は緒方が演じることになったようだ。

 完全に妖怪に戻ったことを感じさせる「暗黒武術会編」の妖狐蔵馬と、姿は変わっても人間・南野秀一の心を保った「魔界の扉編」以降の妖狐蔵馬。イメージの違いを、あらためて聴き比べてみても面白いだろう。

 そんな蔵馬役だが、Netflixの実写ドラマ版『幽☆遊☆白書』では、人気男性俳優の志尊淳がキャスティングされている。志尊はどこか中性的な魅力を醸し出すことに定評があり、2018年にはNHKドラマ『女子的生活』でトランスジェンダーの主人公を演じて話題になった。

 もしかするとこの配役も、アニメ『幽☆遊☆白書』で緒方が定着させた蔵馬の中性的なイメージに影響を受けているのかもしれない。令和にどのような蔵馬が誕生するのか、今から放送が楽しみだ。

■配信情報
Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』
Netflixにて、12月14日(木)より全世界同時配信予定
出演:北村匠海、志尊淳、本郷奏多、上杉柊平、白石聖、古川琴音、見上愛、清水尋也、町田啓太、梶芽衣子、滝藤賢一、稲垣吾郎、綾野剛
原作:冨樫義博『幽☆遊☆白書』(ジャンプ・コミックス刊)
監督:月川翔
脚本:三嶋龍朗
VFXスーパーバイザー:坂口亮(Scanline VFX)
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆
プロデューサー:森井輝
制作プロダクション:ROBOT
企画・製作:Netflix

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