22年ぶりの劇場公開! 『ゴーストワールド』は最悪で最高な“ダサ良い”青春映画の傑作

『ゴーストワールド』“ダサ良い”青春の魅力

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、主人公・イーニドに憧れて高校生の時にレコードプレーヤーを買った佐藤が『ゴーストワールド』をプッシュします。

『ゴーストワールド』

 初めて本作を観たのは、高校2年生の時。公開から22年の時を経て、11月23日より全国でリバイバル上映されている本作は、ソーラ・バーチ演じる黒髪ショートにメガネスタイルのイーニドと、スカーレット・ヨハンソン演じる金髪のレベッカの2人の少女が、大人になることに直面し、自分の居場所を見つけていく青春映画だ。

 当時、自分が主人公の2人とほぼ同い年だったということもあって、“大人になることに反抗したい気持ち”にすごく共感できていたのをよく覚えている。しかし、大学卒業を控えた大学4年生になった今改めて観てみると、ティーンから大人になる過程で上手くいく人となかなか思い通りにならない人の違いがはっきりと描かれていることに気が付く。本作は、そんなモラトリアム期の感覚を上手く掴んでいるからこそ、どの世代が観ても不思議と共感できる作品なのだろう。

 
 高校を卒業したイーニドとレベッカは、周りが進学していく中、進路も決めず好き勝手に過ごしていた。カフェで見つけたカップルの尾行をしてみたり、新聞で見つけた出会い系広告の掲載主である冴えない男・シーモア(スティーヴ・ブシェミ)を嘘の電話で呼び出してみたり、コンビニで働く物静かな青年・ジョシュ(ブラッド・レンフロ)をからかったりととにかくやりたい放題。実際ではあり得ないはずの展開が次々と起こっていくが、2人のブラックユーモアと、コミックからそのまま出てきたような超個性的なキャラクターたちの登場によって、現実感のある面白さへと昇華されているのが良い。

 そして、親友のレベッカにも遅れを取り、自分の居場所をなかなか見つけられないイーニドのファッションにも本作の魅力が詰まっている。自分の未来が定まっていないイーニドを象徴するかのように、作中ではファッションも七変化していく。 思いつきで髪を緑に染め、パンクファッションに身を包んでみたり、水平のようなセーラー服を着たり、リップの色とメガネの形を服にあわせて変えていたりと、とにかく自分の好き勝手に生きるイーニドの個性が“ダサかわいい”衣装たちに表れているのが印象的だった。

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