治安最悪なメキシコの教育現場から学ぶ 『型破りな教室』が描く”埋もれた才能”の活かし方

リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替わりでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、たまに家でタコパ(タコスパーティ)を楽しむ小野瀬が、2023年にメキシコ国内で年間興行成績No.1を記録した映画『型破りな教室』をプッシュします。
『型破りな教室』
「破天荒な教師が、学校や生徒を変える」。そのようなストーリーは古今東西、たくさんある。例えば、このコラムを書きながら、『いまを生きる』や『スクール・オブ・ロック』、『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)、『ごくせん』(日本テレビ系)などがすぐに思い浮かんだ。そんな定番の題材の中、『型破りな教室』の特筆すべきポイントは、貧困、犯罪、ネグレクトが蔓延するメキシコ国境の町・マタモロスで2011年に起きた実話がベースになっているということ。
通学路には死体が横たわり、昼間から銃撃が鳴り響く。そんな治安最悪の環境にあるホセ・ウルビナ・ロペス小学校は、満足な教育設備がなく、教員もやる気がない。教育カリキュラムに則り授業を行ったところで、生徒はまともに聞いておらず、学力テストの成績は全国最下位。それどころか、生徒の半分は卒業すらできない。そんな学校に、ひとりの教師が赴任してくることから物語は始まる。
新任教師の名前は、フアレス。のちに受け持ったクラスの成績を急上昇させ、そのうち10人が全国上位0.1パーセント、1人は全国1位の成績を取るほど成長させた人物だ。彼は、秩序と権威を重要視して子どもたちに従順さを押し付ける旧態依然の教育方針、形だけの指導要領や学力テストを良しとせず、自分の信じる教育を進める。初日から教室中の机をひっくり返して、まるで椅子取りゲームのような要領で、体を使って割り算を教えようとする先生に対し、最初は生徒からも「幼稚園みたいだ」と呆れの声。それでも、自然と子どもたちは算数を理解するようになり、学びに対して前向きな姿勢を見せていく。






















