『ブギウギ』六郎の“甘えたがり”にツヤの“醜い”お願いも 本心を受け止める家族の愛情
大阪ではツヤもまた、梅吉(柳葉敏郎)に心の内を打ち明けていた。スズ子をキヌ(中越典子)に会わせなかったから罰が当たったんだと話すツヤは、梅吉にあるお願いをする。
「このまま何があってもスズ子をキヌに会わせんといてほしいねん」
「これから生きていくワテの知らんスズ子を……キヌが知るんは耐えられへん」
「性格悪いやろ」「醜いやろ」と弱々しく笑うツヤに、梅吉は優しいまなざしを向ける。梅吉は「醜いことあらへん」「ツヤちゃんはやっぱり最高の母親や」と言い、ツヤの手を握った。
劇中、六郎は「ワイ、お父ちゃんよりお母ちゃんに似て……」と言っていた。六郎もツヤも明かさずにいた胸中を打ち明ける様が確かに似ている。そしてスズ子も梅吉も、彼らの複雑な心境を優しく受け止める。六郎とツヤの苦しみをそのまま引き受けることはできないが、その苦しみに耳を傾け、あたたかく抱きしめたり手を握ったりする。スズ子ら家族の、お互いを思い合う姿が心を打った回となった。
物語の終わり、「ハハキトク」の電報を受け取ったスズ子は、大きなショックを受けながらもステージに立つことを決意した。「お母ちゃん、ワテは……歌手として、もっと大きなりたいんや」と自分の苦しい心持ちを味方にして力強く歌う。スズ子の現況を知る由もない観客は大きく沸いた。舞台上で唯一、スズ子の心境を知る羽鳥(草彅剛)だけが不安げにスズ子を見つめていた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK