『ブギウギ』黒崎煌代演じる六郎の複雑な心境表現が見事 “家族を失う”梅吉の溢れた想い
印象的だったのはツヤと六郎の会話だ。「わい軍隊では頑張るねん。どんくさいの卒業するんや」と語る六郎に対して、ツヤは「あんたはどんくさいことなんかないで。ほんまは、みんなあんたみたいに素直で正直な人間になりたい思ってんねんで。わてもや」と優しく語りかける。六郎のどんくささはともすれば欠点として捉えられかねないが、梅吉やツヤが育んできた温かい家庭環境が六郎をポジティブな性格にしてきたのだろう。「勲章をもらったら病気が治るかもしれない」という六郎の言葉は決して冗談ではない。そんな六郎の素直さがツヤの生きる糧となっていたのではないか。ここで光っていたのが黒崎煌代の演技の上手さだ。純粋でまっすぐな表情を見せる六郎だが、その表情の裏には戦争の現実を受け止めたくないという相反する感情も見え隠れしていた。その複雑な感情をたったワンシーンで表現できるのが素晴らしい。
短く刈り上げた頭を、お母ちゃんに見てほしい #六ちゃん(黒崎煌代)。
そんな六ちゃんを笑顔で受け入れる #ツヤさん(水川あさみ)。ツヤさんの胸中を思うと、、、言葉が見つかりません。。#ブギウギ pic.twitter.com/FwwW5DQtt2
— 朝ドラ「ブギウギ」公式 (@asadora_bk_nhk) November 20, 2023
そしていよいよ六郎の出征の日がやってきた。背広を着た六郎の表情は心なしか大人びて見える。涙を流しながら見送る梅吉だが、本当に伝えたいのは「行ってほしくない」だろう。だが、これは花田家だけではなく、日本中のあちこちで同じような光景が当時はあり、誰もが本音を押し殺しながら息子を戦地へと送り出してきた。改めて戦争の無慈悲な現実を突きつけられるとともに、梅吉の気持ちを思うと複雑な気持ちにさせられる。
どんよりとした空気が漂う第二次世界大戦下の日本ではあるが、スズ子(趣里)の歌声は受け入れられるのだろうか。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK